2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属水酸化物を基盤とした高機能固体触媒開発および新反応開拓
Project/Area Number |
10J08724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大石 高路 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属水酸化物触媒 / 銅 / 1,3-双極子付加環化反応 / アルキン / アゾメチンイミン |
Research Abstract |
申請者は、担体上に高分散に坦持された金属水酸化物種が同一金属上に金属由来のルイス酸点と水酸基由来のブレンステッド塩基点を併せ持つことに着目し、酸・塩基の協奏効果を利用した高機能な不均一系触媒の開発を行ってきた。その過程で、活性点構造のみを抽出した錯体もまた高い触媒活性を示すはずであると考えた。これまでに、銅水酸化物坦持チタニア触媒では銅水酸化物種が担体上に適度な複核の状態で固定化されていることが示唆され、末端アルキンとアジド化合物との1,3-双極子付加環化反応に対して高い触媒活性を示すことが明らかとなっていた。ヒドロキソ架橋を有する二核の銅錯体[Cu(μ-OH)(tmen)]_2Cl_2は活性点モデルの錯体として適切であると思われ、実際に均一系触媒として末端アルキンとアジド化合物との1,3-双極子付加環化反応に対して用いると、反応は速やかに進行し対応するトリアゾールが高収率で得られた。さらに、アジド化合物の代わりにアゾメチンイミン類を用いても1,3-双極子付加環化反応が速やかに進行し、量論量のピラゾリジノン誘導体が位置選択的に得られた。活性点モデルの錯体が高い触媒活性を示したことから、坦持銅水酸化物触媒を用いて末端アルキンとアゾメチンイミンとの不均一系1,3-双極子付加環化反応の実現を試みた。種々の担体および反応条件の検討を行った結果、銅水酸化物坦持アルミナ触媒が高活性な固体触媒として機能することが明らかとなった。反応中に坦持された銅種の約3%が反応液中へと溶出していたが、触媒活性は全て担体上に固定化された銅水酸化物種由来であることが確認された。本触媒は不均一系触媒であるが故に回収および再利用が容易であり、また過去の固体触媒の報告例と比較して高い触媒活性(TOF=46h^<-1>)を示した。
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