2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属水酸化物を基盤とした高機能固体触媒開発および新反応開拓
Project/Area Number |
10J08724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大石 高路 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属水酸化物触媒 / 銅 / OMS-2 / アルキン / 酸化的ホモカップリング |
Research Abstract |
申請者は担体上に高分散に坦持された金属水酸化物種が同一金属上に金属由来のルイス酸点および水酸基由来のブレンステッド塩基点を併せ持つことに着目し、酸・塩基の協奏効果を利用した高機能な不均一系触媒の開発を行ってきた。これまでの研究からチタニア担持銅水酸化物触媒が末端アルキンの酸化的ホモカップリング反応に対して高い触媒活性を示し、対応するジイン誘導体が高収率で得られることが明らかとなっていた。今回詳細な反応機構について検討したところ、反応中に不活性な銅アセチリド種が生成することで触媒活性が低下しており活性種の再酸化を促進することで活性が向上することが示唆された。本研究では基質から分子状酸素への電子移動を促進するような中間体を導入することで問題の解決を図った。MnO_2/Mn_2O_3の酸化還元電位(1.04V)がCu^<2+>/Cu^+(e.g.,0.67V for CuO/Cu_2O,0.75V for Cu(OH)_2/Cu_2O)とO_2/H_2O(1.23V)の中間に位置することからマンガン酸化物が中間体として機能することが期待され、特に高表面積・電子伝導性を有し分子状酸素によって容易に再酸化されるOMS-2(Octahedrai molecular sieves)を用いて触媒調製を行った。調製したOMS-2担持銅水酸化物触媒を用いてフェニルアセチレンからの1,4-ジフェニル-1,3-ブタジイン合成を行ったところ、チタニア担持銅水酸化物触媒の15倍の触媒回転数(540h-1)を示し過去の固体触媒の報告例と比較して最も高い値であった。また、本触媒は種々の置換基を有する芳香族アルキンおよび脂肪族アルキンに適用可能であった。坦持された銅種の反応液中への溶出がないことから、本触媒は真に不均一系触媒として機能していた。さらに、不均一系触媒であるが故に回収および再使用が容易であり、大きな活性の低下もなく13回の再使用が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分散に坦持された金属水酸化種が同一金属上に酸・塩基点を併せ持つことを利用した触媒反応系の開発を行った。反応機構の詳細を検討することでこれまでの担持金属水酸化物触媒が有する問題を明らかとし、その解決のために電子移動中間体を導入することで活性の大幅な向上を達成した。今回用いたOMS-2は電子移動中間体および担体として働くことが明らかとなっている。担体に機能を持たせた担持金属水酸化物触媒の調製は初めてであり、新たな触媒反応系の開発への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では担体に機能を持たせたOMS-2担持銅水酸化物触媒の調製に成功した。そこで、金・ルテニウム・ロジウム・パラジウムのような種々の金属(水酸化物)種をOMS-2上に高分散に坦持することで新たな触媒反応系の開発を行う。さらに、触媒反応に対して機能を示すようなOMS-2以外の担体の検討および複数の金属種の協奏効果による新反応の開発についても研究を進める。
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