2011 Fiscal Year Annual Research Report
多様な性的自己の生物学的・心理学的発達と臨床支援に関する研究
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10J08837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 掌子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性同一性障害 / 同性愛 / 2D:4D / 双生児 / 小児 / 思春期 / 青年期 / 心理療法 |
Research Abstract |
1.3本の査読付き投稿論文が受理された。1つ目は、双生児を対象とし、指比(2D:4D)のデータ分析をしたもので、Archives of Sexual Behaviorに掲載された。2D:4Dと遺伝率、出生前ホルモン移動、性指向との関係を明らかにした。2つ目は、子どもの性同一性障害に対応する機関としてもっとも伝統のある、カナダのCentre for Addiction and Mental Health,University of Torontoに来院した性同一性障害の子どもたちに関する経時的変化を分析したもので、Journal of Sex&Marital Therapyに掲載された。3つ目は、心理臨床学研究に掲載された。アメリカ心理学会(APA)が作成した、同性愛の当事者がクライエントとして来た時に、どのような心理療法的対応が適切なのか、これまでの心理学研究の知見を踏まえた提言の報告書を翻訳した。 2.本年度はカナダのCentre for Addiction and Mental Health,University of Torontoにおいて研究に従事している。現在のところ、3つの研究に着手している。1つ目は、これまでここで蓄積されてきた性同一性障害をもつ小児期・思春期・青年期の子どもたちの知能検査に関する分析、2つ目は、性同一性障害をもつ小児期・思春期・青年期の子どもたちのStructural MRIの研究、3つ目は、性同一性障害の出生順位に関する国際比較、である。 3.臨床研究として、発展途上であるわが国の子どもの性同一性障害に関する、ケースフォーミュレーションやアセスメント・診断法、治療法などについて、わが国への援用可能性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初では、カナダのデータを扱えると予期していなかった。もとの研究計画とは異なるものの、これは大いなる進展であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載したものとは若干異なる研究課題をカナダの受入研究者からいくつか打診された。しかしながら、「多様な性的自己の生物学的・心理学的発達と臨床支援に関する研究」という研究課題を鑑みると、むしろこれは好機であると考えられる。帰国後も、電子メールなどを通じ、進捗状況について密なやり取りを続ける予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Patterns of referral to a gender identity service for children and adolescents (1976-2011) : Age, sex ratio, and sexual orientation
Author(s)
Wood, H., Sasaki, S., Bradley, S., Singh, D., Fantus, S., Owen-Anderson, A., Di Giacomo, A., Bain, J., Zucker, K.
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Journal Title
Journal of Sex & Marital Therapy
Volume: (掲載確定)
Peer Reviewed
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