Research Abstract |
(A)プロトン-電子混合導電性ペロブスカイト型酸化物の調製と燃料電池電極への応用 プロトン導電性ペロブスカイト型酸化物BaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-α>へのRu添加による電子伝導性付与を試み,本材料を燃料電池の空気極として応用したが,十分な発電特性は得られなかった.Ruの添加量や電極構造を最適化など,多方面からの検討が必要であることがわかった. (B)酸素イオン-電子混合導電性ペロブスカイト型酸化物の酸素活性化能の向上 ペロブスカイト型酸化物LnFe_xCo_<1-x>O_3(Ln=La, Pr, Sm, Gd, Dy, Yb)において,Bサイト置換によるCO酸化活性能の向上は,Aサイトランタノイド種によらず認められた.XPSによる各酸化物の表面分析により,Bサイト複核ペロブスカイトは,Bサイト単核ペロブスカイトよりも表面Bサイト濃度が高いことがわかった.また,Aサイトランタノイド種を変えることでCO酸化活性は変化した.ペロブスカイト型酸化物の結晶性,Coの還元性,表面Bサイト濃度がランタノイド種により変化するため,これらの変化が複雑に関与して活性に影響を与えていると推察した. (C)無機化合物を利用した新規プロトン-電子混合導電性空気極の開拓 ヘテロポリ酸と従来のPt/Cとの複合化では純粋なPt/Cよりも高い発電特性が得られた.ただし,ヘテロポリ酸の溶出は,難溶性H_<3-x>Cs_xPW_<12>O_<40>の使用で回避できたが,長期の作動安定性にはまだ問題が残った. (D)Ni/セリア系サーメット(SDC)燃料極における水素活性化能の向上 Ni/SDC燃料極のNi粒子サイズの制御を試みた.SDC前駆体の焼成温度を変化させること,また,アルカリ土類金属酸化物をNi/SDCに添加することによってNi粒子サイズは変化し,また,水素,メタンの両燃料において,これら燃料極を用いたセルの最大出力密度はNi平均粒径に依存することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は最も挑戦的な課題である「プロトン導電性酸化物に電子伝導性を付与し,これを空気極材料として応用すること」に着手した.BaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-α>へのRu添加による電子伝導性付与を試み,本材料を燃料電池の空気極として応用したが,十分な発電特性は得られなかったが,Ruの添加量や電極構造を最適化など,発電向上のための足掛かりを得ることができた.その他の項目については概ね順調に研究が進行しており,特にヘテロポリ酸と従来のPt/Cとの複合化では純粋なPt/Cよりも高い発電特性が得られ,期待以上の成果が得られたものもあった.
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Strategy for Future Research Activity |
BaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-α>へ電子伝導性付与において,Ruの添加量や電極構造を最適化について検討する.また,Ru以外の金属の添加による電子伝導性の付与を試みる.ペロブスカイト型酸化物の酸素活性化能の改善に関する実験は順調で,イオン種-金属の還元性,表面濃度,結晶性-触媒活性の因果関係が解明されつつあるので,引き続き行う.ヘテロポリ酸とPt/Cの複合電極については,長期作動における安定性の向上を目標にする.
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