2012 Fiscal Year Annual Research Report
イオン-電子(ホール)混合導電性無機材料の開発と燃料電池電極への展開
Project/Area Number |
10J08873
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
浅本 麻紀子 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 燃料電池 / 電極 / 混合導電体 / ペロプスカイト / EPD / 積層電極 |
Research Abstract |
プロトン導電性ペロブスカイト型酸化物として知られているBaCe_<0.8>Y_<0.2>O_<3-α>にRuを添加したBaCe_<0.8-x>Ru_xY_<0.2>O_<3-α>(BCRYx,x=0.1-0.05)をプロトン導電性固体酸化物形燃料電池の空気極へ応用し,電極評価を行った.BCRYxは酸化物イオン―電子混合導電体であるLa_<0.7>Sr_<0.3>FeO_3(LSF)と複合化させて空気極として用いた(BCRYx-LSF,混合比1:1).BCRYx-LSF複合空気極を用いたセルの発電特性は,LSF空気極を用いたセルの発電特性よりも大幅に低下した.この低下はBCRYxが抵抗成分となっていることに起因すると考えられる.すなわち,空気極作動条件下である湿潤雰囲気中では,BCRYxが十分なプロトン―電子混合導電性を示していないことが問題である.そこで,湿潤空気雰囲気でプロトン―電子混合導電性を示すことが報告されたBaCe_<0.8-x>Pr_xY_<0.2>O_<3-α>(BCPYx,x=0.2,0.3)を調製し空気極としての評価を行ったが,十分な発電特性が得られなかった.これは,BCPYxの電子伝導性が不十分なためであると考えられる.電子伝導性を向上させるためにBCPYxもLa_<1-x>Sr_xCoO_3やLa_<1-x>Sr_xCO_<1-y>Fe_yO_3などの電子伝導性の高い酸化物と複合化させる必要があることがわかった. 理想的な空気極および燃料極を構築するためにEPD法を用いて積層電極の作成を行った.Ni/YSZ燃料極において,電解質に近いところは,反応場を拡大と電解質との接着を向上するためにNiとYSZを50:50で混合したNi(50)/YSZを用いた.また,電解質から遠い,つまり集電剤に近いところは,集電効果を向上させるためにNiとYSZを70:30で混合したNi(70)/YSZを用いた.これらNi添加量のことなるNi/YSZをEPD法により積層化して堆積させ,これら積層電極の燃料電池評価を行った.しかしながら,積層電極よりも単層電極を用いた方が発電特性が向上した.これは,EPD法で積層化するときに二層間に大きな界面抵抗が生じたことに起因すると考えられる.一層目(Ni(50)/YSZ)と二層目(Ni(70)/YSZ)の膜厚や気孔率を最適化する必要があることがわかった. また,空気極も同様にLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3(LSM)/YSZ(一層目)とLSM(二層目)の積層電極をEPD法により作製し,積層電極の燃料電池評価を行った.特に反応場の拡大を目的として一層目のLSM/YSZの膜厚の最適化を行った.LSM/YSZが4μmのときに最も過電圧が低下し,高い発電特性が得られることがわかった.従って,混合比50:50のLSM/YSZでは4μm以上は反応場として有効に使われていないことが示唆された.
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Research Products
(2 results)