2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネのカドミウム輸送機構の分子レベルでの解明と制御
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10J08989
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦口 晋平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物 / カトミウム / 輸送体 |
Research Abstract |
1.成熟葉/節で発現しているイネ輸送体遺伝子の単離とカドミウム輸送能の検証 新規カドミウム輸送体の候補として着目したOsLCT1の細胞内での局在をタバコの培養細胞を用いた発現系で検証した。OsLCT1とGFPの融合タンパク質は,おもに細胞膜マーカーであるFM4-64との共局在を示した。OsLCT1のカドミウム輸送能を酵母を用いたアッセイで検証したところ,OsLCT1にはカドミウムに加えて,カルシウム,カリウムなどの金属を細胞外に排出する活性が認められた。OsLCT1遺伝子の発現解析をマイクロアレイデータの解析とリアルタイムPCRによって行った。玄米へのカドミウム蓄積に重要な出穂期や登熟期に葉身および節において,OsLCT1遺伝子の強い発現が認められた。RNAiによるOsLCT1発現抑制イネを作成するとともに,OsLCT1のT-DNA挿入株などの変異株の単離を行った。現在それぞれのホモ株を育成中である。 2.イネのカドミウム感受性/耐性系統の原因遺伝子の解析 カドミウム耐性系統とコシヒカリのF2を用いたQTL解析を行った。カドミウム耐性に関わる,寄与率が11-17%のQTLを3つ単離した。それぞれのQTLについてF3を得て,解析を進めている。台中65号背景のカドミウム感受性株7系統について,カサラスとのF2を得てマッピングによる原因遺伝子の単離を試みた。しかし,いずれの系統でも表現型と遺伝型との明確な連鎖が認められなかった。現在,日本型イネ品種(日本晴およびコシヒカリ)との掛け合わせによりF1を取得中であり,今後得られた系統を用いて解析を試みる予定である。 3.篩管液を介したカドミウム輸送に関するイネ変異株の単離 台中65号背景の変異株集団(3000系統)から,一次スクリーニングとして実生から得た導管液と地上部のカドミウム含量を測定した。カドミウム含量の低い系統および高い系統をそれぞれ複数選抜した。選抜した系統について自殖種子を多数取得した。またイネの穂首から篩管液を採取,カドミウムを測定する系を確立した。
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Research Products
(8 results)