2010 Fiscal Year Annual Research Report
MOCVD法によるIII族窒化物半導体ナノ構造形成と単一光子発生器の実現
Project/Area Number |
10J09067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崔 埼鉉 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GaN量子ドット / GaNナノワイヤ / 単一光子発生 / MOCVD選択成長 |
Research Abstract |
本研究では、量子情報通信の基礎デバイスへの応用に向けて室温で安定な動作が可能な高効率単一光子発生器の実現を目指しており、その材料としてGaN量子ドットを含んだAIN/GaNナノワイヤという構造を採用している。本研究の実施において、GaNナノワイヤおよびAIN/GaNナノワイヤ内GaN量子ドットのMOCVD結晶成長技術の確立は非常に重要である。今年度の主な成果を以下に述べる。 1.AIN/GaNナノワイヤ内GaN量子ドットのMOCVD選択成長 選択成長された高品質AIN/GaNナノワイヤの中にGaN量子ドットを挿入すれば、量子ドット周辺の欠陥による影響を軽減することができる上、量子ドットの形成位置が容易に特定できデバイス応用に有利である。c面サファイア基板上にMOCVD成長したGaN薄膜の上にSiO_2をスパッタ成膜し、EBリソグラフィーなどを用い成長窓のパターニングを行った。この基板をMOCVD反応炉に導入し、材料原料を950~1050℃の温度で同時に連続供給して成長条件の最適化を行ったところ、形成位置、サイズが制御されたGaNナノワイヤを形成することができた。100nm径おいて8分間成長したナノワイヤの直径は100nm、長さは940nmであり、非常に均一に形成されている。次にこの構造をAINで覆いGaNを短時間堆積した後、再びAINでカバーした。この際AINの高い成長温度でGaNが蒸発しないように成長条件を最適化することにより、位置制御されたナノワイヤ内GaN量子ドットの形成が可能となった。 2.薄いGaNテンプレートを用いたGaN量子ドットAIN/GaNナノワイヤのMOCVD選択成長 1.で作成した構造を用い単一のGaN量子ドットに対して低温顕微PL測定を行ったが、単一の量子ドットからの発光ピークが確認できるものの、GaNテンプレートからのバックグラウンド発光が強く、量子ドットからの発光は相対的に弱かった。これはGaNテンプレートの膜厚がL5μmと厚いためであると考えられたため、低温AINバッファ層を導入することによりその厚さを180nmと薄くした。このテンプレートを用いて1.と同様に選択成長用基板を作製し、GaNナノワイヤおよびAIN/GaNナノワイヤ内GaNドットの成長を試みたところ、ほとんど同じ成長条件を用いることで目標構造が形成できた。次に単一のGaN量子ドットに対して低温顕微PL測定を行ったところ、発光エネルギー4.35eV付近においてGaN量子ドットから相対的に強い発光が観測でさた。GaNテンプレートを薄くしたことによって、量子ドットからの発光強度を維持しつつ、テンプレートによるバックグラウンド発光が抑制されたことが分かった。
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