2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット/超伝導接合におけるアンドレーエフ束縛状態の観測と電子相関現象の研究
Project/Area Number |
10J09090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 康 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己形成量子ドット / 量子ドットジョセブソン接合 / 近藤効果 / スピン軌道相互作用 / g因子 / 超伝導量子干渉計 / 電子輸送現象 / スピン一重項-三重項縮退 |
Research Abstract |
研究計画には書かれていないが、前年度に量子ドット中のスピン軌道相互作用をサイドゲートによって制御できていることを示唆する結果を得ていた。しかし、このときの検出方法が近藤効果を利用するという新しい手法であったため、その確認のために、近藤効果によるスピン軌道相互作用の異方性の測定を行った。その結果、スピン軌道相互作用であることを示唆する結果を得た。また、g因子の異方性を詳細に測定し、サイドゲートによって制御できることがわかった。得られた実験値からg因子の異方性を変調することによる電子スピン状態の制御の評価したところ、十分実現可能であるという結果を得た。また、量子ドットにおいてスピン一重項-三重項近藤効果(ST近藤効果)を検出し、サイドゲートによってST近藤効果を制御した。ST近藤効果を制御しながら、超伝導輸送を測定したところ、基底状態がスピン一重項状態では0接合になっていたが、基底状態が三重項状態でST近藤効果が弱い場合には超伝導電流が強く抑制され、π接合になっていることを示唆する結果を得た。ST近藤効果が強い場合には0接合になっており、一次のアンドレーエフ反射が増幅される結果を得た。また、前年度に量子ドットが奇数の領域で近藤効果が強い場合にはπ接合から0接合になることを示唆する結果を得ていたが、実際に位相を測定してはいなかった。位相を測るには超伝導量子干渉計が必要であり、その作製を行った。測定を行ったところ、超伝導干渉を観測し、量子ドット超伝導干渉計の作製に成功した。このとき、サイドゲートによって従来の十倍程度の電子数の制御ができ、サイドゲートの効率化に成功した。超伝導量子干渉測定ではある電子数が奇数の領域ではπ接合であるが、強い近藤が現れている領域では0接合になっている様子を観測した。Nb電極、静電並列結合ドットの作製の作製に関しては他研究員が取り組み、成功している。
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