2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子Shootin2による抑制性神経細胞の細胞移動およびその分子機構の解明
Project/Area Number |
10J09106
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
柴田 浩孝 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞移動 / クラッチ分子 / アクチン繊維 / Shootin / 抑制性神経細胞 / 先導突起 |
Research Abstract |
本研究は、抑制性神経細胞における先導突起形成と伸縮、そして細胞移動に着目してShootin2の機能の解明を目指す。本年度は、基底核原基由来の初代培養抑制性神経細胞を用いてShootin2の機能解析を行った。 まず、EGFP-Shootin2を抑制性神経細胞に発現させて蛍光ライブイメージングしたところ、先導突起先端におけるShootin2の濃度と突起伸長に相関関係がみられた。そこでShootin2の機能を調べるため、myc-Shootin2を抑制性神経細胞に過剰発現したところ、過剰な先導突起の形成がみられた。更に、抑制性神経細胞の免疫染色や、アフリカツメガエルの繊維芽細胞であるXTC細胞を用いた細胞内1分子計測により、フィロポディアやラメリポディアにおいてShootin2が逆行性に移動するアクチン線維と相互作用することが示唆された。次に、細胞移動におけるShootin2の機能を調べるため、抑制性神経細胞にEGFP-Shootin2を発現させて蛍光ライブイメージング法により解析した。まだ予備実験の段階ではあるが、興味深いことに、移動する抑制性神経細胞が方向転換する際、まずShootin2の濃縮した領域で新しい先導突起が形成され、その後、形成された先導突起の方向に細胞が移動するデータが得られた。以上の結果から、Shootin2が(1)細胞内においてアクチン繊維と相互作用すること、(2)抑制性神経細胞の先導突起形成・伸長に関与すること(3)先導突起の制御を介して細胞移動に関与する可能性が示唆された。今後、ShootinノックアウトマウスやGAD67-GFPノックインマウスを用いて、培養条件下や脳内の抑制性神経細胞の細胞移動におけるShootin2の機能を解析する予定である。
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