2010 Fiscal Year Annual Research Report
バルク金属ガラスの構造緩和における局所構造変化に関する研究
Project/Area Number |
10J09161
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石井 顕人 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バルク金属ガラス / 陽電子消滅測定 / 熱処理 / EXAFS / 自由体積 / 構造緩和 / 局所構造 / ジルコニウム |
Research Abstract |
【バルク金属ガラスの局所構造に関する合金組成依存性】 Zr-Cu-Al及びZr-Cu-Ni-Al系に関して、複数の組成のバルク金属ガラスを傾角鋳造法にて作製した。これらの異なる組成の試料に関して陽電子消滅測定、また、Zr及びCu周囲の局所構造評価のためにEXAFSの測定を行った。Zr-Cu-Al金属ガラスの未焼鈍(as-prepared)の自由体積サイズに関して、Zr_xCu_<90-x>Al_<10>(x=45,50,55,60,65)の陽電子寿命値は2-3psec程度の差異であり、これは自由体積の平均サイズが組成に寄らずほとんど等しいことを示している。さらに、自由体積周囲の局所構造に関して、3元系、4元系共に組成依存性が見られた。Zrが多く含まれる組成のものがより自由体積周囲にZrが多く偏在している事が分かった。この傾向は3元系、4元系ともに共通している。EXAFS測定によるZr,Cu周囲の局所構造はZr-Cu-Al金属ガラスに関して、Zr周囲で明確な組成依存性が見られた。これは自由体積周囲の組成依存性と対応すると考えられる。以上より、金属ガラスの平均サイズはほぼ同じであるが、その周囲の元素比率は組成に依存しており、特に自由体積周囲にZrが偏在している事が明らかとなった。 Tg以下における等温焼鈍による構造緩和過程の自由体積変化をそれぞれの合金組成に関して測定した。自由体積平均サイズ変化に関してはZr_xCu_<90-x>Al_<10>(x=50,55)と、Zr_xCu_<90-x>Al_<10>(x=60)で異なる挙動が見られた。前者は密度変化にほぼ対応する変化が得られたが、後者のZr60%の組成の合金に関してはほとんど自由体積サイズの変化が見られなかった。このことから、自由体積周囲に存在する局所構造を保持した緩和過程であるが、Zr60%の組成である合金に関しては自由体積そのものの変化も示していないことから、陽電子が見ている自由体積以外の領域における変化かもしくは、自由体積のサイズ分布が異なり平均サイズの変化として検出されていない可能性も考えられる。この結果は、Zr60%の組成の合金の自由体積の状態及びその変化機構が他の組成と異なることが考えられる
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