2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J09276
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
玉置 悠祐 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CO_2還元 / 超分子光触媒 / ルテニウム錯体 / レニウム錯体 / CO / ギ酸 |
Research Abstract |
光増感部としてルテニウム(II)トリスジイミン錯体、触媒部としてレニウム(I)カルボニル錯体およびルテニウム(II)カルボニル錯体を有する超分子錯体は、CO_2を還元しそれぞれCOおよびギ酸を生成する光触媒として働く。犠牲還元剤として1-benzyl-1,4-dihydronicotinamide(BNAH)を用いた場合、BNAHが1電子酸化、脱プロトン化された後の二量体BNA_2が光触媒反応を阻害していることが分かった。すなわち、光触媒反応が進行し系中にBNA_2が蓄積していくにつれて、光触媒反応速度が低下する。これを回避するため、犠牲還元剤をBNAHから1,3-dimethyl-2-aryl-2,3-dihydro-1H-benzo[d]imidazole(BIH)へと変更した。その結果、Ru-Re錯体によるCO生成では量子収率54%、ターンオーバー数3029、Ru-Ru錯体によるギ酸生成では量子収率46%、ターンオーバー数2555と飛躍的な光触媒機能の向上が達成された。これは、BNAHを用いた場合と比較して量子収率で3-7倍、ターンオーバー数で5-15倍に向上しており、これまでに報告されている可視光で駆動する超分子光触媒で圧倒的に最も高い値である。 またギ酸を生成する光触媒として働くルテニウム(II)二核錯体について、藤田博士(Brookhaven National Laboratory)の御協力もと、反応機構について検討した。その結果、触媒部の1電子還元種の紫外可視吸収スペクトルが初めて得られた。また、二核錯体が1電子還元された際の光増感部と触媒部への電子分布を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、光触媒反応の阻害過程を明らかにした。この阻害過程を回避するために、犠牲還元剤として、これまで用いていたものとは異なる化合物を用いた。その結果、CO_2還元光触媒機能を飛躍的に向上させることができた。その光触媒機能は、これまでに報告されている可視光駆動の超分子光触媒の中でも、群を抜いて最も高いものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果により、CO_2還元光触媒機能は飛躍的に向上したが、ターンオーバー数は3000程度で頭打ちになってしまった。この原因は、光増感部であるルテニウム(II)トリスジイミン錯体の分解によるものであることが分かっている。そこでさらに光触媒機能を向上させるために、より光励起状態および1電子還元状態での安定性が高い錯体を光増感部として用いることを検討する予定である。 また触媒部を変更することによって、新規光触媒の開発を目指す。
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Research Products
(10 results)