2010 Fiscal Year Annual Research Report
気孔の二酸化炭素応答:メカニズムの解明とメカニステックモデルの構築
Project/Area Number |
10J09332
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡島 有規 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環境応答 / 気孔コンダクタンス / 二酸化炭素濃度 / 光合成 / 植物生理生態 |
Research Abstract |
青色光や飽差と同様、葉内二酸化炭素濃度が気孔の開閉制御に効いていることが知られている。 ただし、葉内二酸化炭素濃度による気孔の開閉制御において、二酸化炭素を基質とする光合成反応が影響を与えるか否かは、未だに議論が続いている。申請者は、気孔開閉において葉内二酸化炭素濃度と光合成速度の影響を分離し、葉内二酸化炭素濃度による、光合成反応を介した間接的な気孔コンダクタンスへの影響の有無を明らかにすることを、目的とし、以下の実験を行った。 光強度や飽差を一定に保ちながら、二酸化炭素濃度・酸素濃度を様々に変えて、光合成速度や気孔コンダクタンスを測定した。光合成がRubisco律速段階にあるような条件で葉内二酸化炭素濃度を一定保った場合、酸素濃度が高くなるほど光合成速度は減少するけれども、気孔コンダクタンスの値はほぼ一定で、光合成速度が変化したことによる影響はほとんど見られなかった。逆に、酸素濃度の上昇に合わせて葉内二酸化炭素濃度を高くし、光合成速度を一定に保った場合、葉内二酸化炭素濃度が高くなるほど気孔コンダクタンスの値は減少した。このことは、Rubisco律速段階において、気孔開閉は光合成速度の影響を受けず、葉内二酸化炭素濃度の影響だけで制御されることを示している。 また、オナモミで報告されていた、光合成のRubisco律速段階とRuBP再生律速段階で、葉内二酸化炭素濃度に対する気孔コンダクタンス変化の様子が異なるという現象が、酸素濃度を変えた測定によって、タバコでも同様に観察されることが確認できた。
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Research Products
(1 results)