2010 Fiscal Year Annual Research Report
使用依拠アプローチによる日本語の自動詞構文と他動詞構文の第一言語習得研究
Project/Area Number |
10J09377
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 陽子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動詞の習得 / 使用依拠アプローチ / 用法基盤モデル / 自動詞と他動詞 / 構文理論 |
Research Abstract |
今年度は、まず研究課題に関連する先行文献や理論的背景について整理を行った。日本語を対象とした研究ばかりでなく、他の様々な言語を対象とした自動詞構文・他動詞構文の習得研究や使役構文の習得研究、抽象的統語構文への子供の一般化能力とそれに対する制約についての研究など、使用依拠アプローチによる第一言語習得理論の最先端の文献を参照することにより、理論的背景を把握し、本研究で扱う問題の所在をより明確なものにするよう努めた。 また、積極的に国内・国外の学会に参加し、研究発表を行うことによって成果を多くの方に紹介し、さまざまな研究者と意見交換の場を設けることができた。国際学会での発表を通じて、本研究が持つ強みと同時に弱い部分を認識することができ、今後の研究の方向性について考える機会を得た。また、多くの興味深い研究発表を見聞きするなかで、新たな知見や研究課題へのインスピレーションを得ることができ、問題意識を共有する研究者たちとの交流を持つことができた。 分析対象とする動詞の使用データを十分に集めることができないため、本研究の目的に適した自然発話データを数人の日本語児から新たに収集する予定であったが、今年度はこの部分を進めるまでには至らなかった。しかしながら、学内で開かれた日本語自然発話データの分析に関するワークショップに参加するなど、今後自分でデータを収集するにあたって必要となるであろう知識や方法論について学び、既存の言語データ(大人と子供の自然発話データベースCHILDES)を活用しながら分析を進めることによって、データ収集に備えた準備を進めている。
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