2010 Fiscal Year Annual Research Report
I型カゼインキナーゼ依存的な減数分裂型コヒーシンRec8の切断制御機構の研究
Project/Area Number |
10J09396
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石黒 伸茂 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 減数分裂 / コヒーシン / シュゴシン / リン酸化 |
Research Abstract |
減数第一分裂におけるシュゴシンSgo1に依存したセントロメア特異的な減数分裂型コヒーシン(Rec8)の保護機構の実態は、そのリン酸化制御であることが示唆されており、この知見に対し我々は、I型カゼインキナーゼがRec8に対して被切断性を高めるようなリン酸化を付加することで、減数分裂を正常に進行させる過程に寄与することを見出してきた。また、最近の当研究室の先行研究から、減数第一分裂における姉妹動原体の一方向性がセントロメア中央部のRec8に依存した接着によって成立していることが明らかにされており、この現象がPlo1キナーゼの活性に依存することも分かってきた。これらのことを受けて、Plo1キナーゼがRec8のリン酸化に寄与する可能性を考え、in vitroによる標的残基の特定を行った。するとセリン450番が標的残基として同定されたため、この残基の非リン酸化型変異株の染色体分配を観察したところセントロメアのRec8に対する保護機能がなくなっていることが分かった。この表現系はすぐ隣の残基であるセリン449番においても見られ、S449、S450の2箇所にリン酸化模倣型変異を導入すると、逆に染色体腕部のRec8が異所的に切断から保護されることが分かった。また、in vivoにおけるS450のリン酸化を実際にPlo1キナーゼが担っており、特にセントロメア付近でその作用が強いということがリン酸化抗体を用いたChIP法によって明らかになった。今回同定したRec8上のPlo1キナーゼの標的残基は動原体の一方向性の制御に寄与するものではなかったが、それとは別に、Rec8がそのリン酸化によってSgo1依存的な保護を受けることができるかどうかが決定されるという未知の制御メカニズムを明らかにすることが出来た。本研究の結果はRec8保護機能をセントロメアに限定する際にSgo1の局在制御のみでは不十分であることを示唆しており、上記のメカニズムはそれを補い、異所的なRec8の保護によって染色体不分離を生じることを防ぐために重要であると考えられる。
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Research Products
(2 results)