2011 Fiscal Year Annual Research Report
太古代-原生代境界の環境復元のための四種硫黄安定同位体を含む硫黄循環モデル開発
Project/Area Number |
10J09419
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 麻悠子 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 硫黄同位体 / 成層湖 / 硫黄循環 / 硫酸還元 / 嫌気光合成 |
Research Abstract |
昨年度は、2007年-2009年の湖水中及び堆積物中硫黄同位体比の測定を一通り終え、湖水中の硫黄循環季節変動解析を行った。そして今年度は堆積物四種硫黄同位体が湖水中で季節変動する硫黄同位体の何を保存しているのかを明らかにすることを試みた。昨年度構築した2種硫黄同位体モデルへ質量数33、36の硫黄同位体を加え、観測された四種硫黄同位体を再現する嫌気光合成の質量依存指数及び嫌気光合成の硫酸還元過程に対する相対速度比を求めた。四種硫黄同位体分布には酸素-無酸素境界における硫酸の拡散及び硫化物の沈降も影響を与えるため、閉鎖系のボックスモデルで検討した条件を基に拡散、沈降の効果を加えたモデルを構築した。さらに、堆積物中の硫黄同位体分布は湖水中成層期後半に観測される硫化物の同位体比を示し、硫酸還元過程のみの系で表されるΔ^<33>SとΔ^<36>Sの同位体分布とは異なることが明らかとなった。つまり堆積物中には嫌気光合成と硫酸還元過程を含んだ硫黄循環であり、微生物活動が硫酸濃度の影響を大きく受ける低硫酸濃度(<1mM)環境である情報がΔ^<33>SとΔ^<36>Sの傾向として安定に保存されていることが示された。今年度の四種硫黄同位体解析に関する研究成果は「Quadruple sulfur isotopic signature of the sulfur cycle system with anocygenic photosynthesis and sulfate reduction in low sulfate concentration condition」という題目で、また、4年間に渡る深見池の連続観測から嫌気光合成が大繁殖する生態系を支える栄養塩の供給及び硫黄源に関して考察した結果を「Hydrochemistry of the lake Fukami-ike」という題目で執筆中であり、どちら5月中に投稿される予定である。今年度の補助金は、主に上記の研究を遂行するための文献の購入費、分析に必要な実験器具、解析するためのPC周辺機器に当てられた。
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[Journal Article] Seasonal change in microbial sulfur cycling in monomictic Lake Fukami-ike, Japan2012
Author(s)
Mayuko Nakagawa, Yuichiro Ueno, Shohei Hattori, Maki Umemura, Akihiko Yagi, Ken Takai, Keisuke Koba, Yuji Sasaki, Akiko Makabe, Naohiro Yoshida
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Journal Title
Limnol.Oceano.
Volume: (掲載確定)
Peer Reviewed
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[Journal Article] Biogeochemistry of nitrous oxide in Lake Kizaki, Japan, elucidated by nitrous oxide isotopomer analysis2011
Author(s)
Sasaki, Y, Keisuke Koba, M Yamamoto, Akiko Makabe, Yuichiro Ueno, Mayuko Nakagawa, Sakae Toyoda, Naohiro Yoshida, M Yoh
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Journal Title
J.Geophys.Res.
Volume: 116
Pages: G04030
DOI
Peer Reviewed