2010 Fiscal Year Annual Research Report
ピンサー型ボリル及びシリルパラジウム錯体を活性種とする多官能性化合物の合成
Project/Area Number |
10J09449
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
喜来 直裕 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホウ素 / パラジウム / ボリルパラジム / ピンサー型配位 / 脱水素ボリル化 / ボロン酸合成 |
Research Abstract |
PSiP-ピンサー型錯体を用いた多官能性有機ホウ素化合物合成法の開発を目指し、新規錯体の合成を行った。申請者は既にPPh_3の配位した5配位PSiP-ピンサー型ボリルパラジウム錯体の合成に成功しているが、本年度はより高活性と考えられる4配位PSiP-ピンサー型ボリルパラジウム錯体の合成から着手した。種々検討を行った結果、パラジウムトリフラート錯体に対し、ビスピナコラートジボロン存在下、AlEt_3を作用させると、新たな平面四配位錯体の生成を確認した。本錯体構造はX線結晶構造解析によって目的とするボリルパラジウム錯体であることが明らかとなった。ピナコールボランの副生が確認されたことから、本錯体はAlEt_3とのトランスメタル化並びにβ-水素脱離を起こすことで生成するヒドリド錯体とジボロンとの反応で生成したと考えられる。以上に加え、本錯体が高活性なボリル化剤として機能し、スチレンの挿入、続くβ-水素脱離により脱水素ボリル化が進行してスチリルボロン酸エステルを与えることも見出した。これら錯体化学的な知見を元に、触媒量のパラジウムトリフラート錯体、AlEt_3を用い、本反応の触媒化を達成した。本脱水素ボリル化反応は既知法に比べて高い触媒活性を有し、単純アルケンでも反応が進行する。またジボロンの当量を等モル量から二倍モル量に増やすと、モノボリルアルケンの脱水素ボリル化が更に進行し、合成化学的に有用な1,1-ジボリルアルケン、あるいは1,2-ジボリルアルケンが選択的に得られることも見出した。
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Research Products
(2 results)