2011 Fiscal Year Annual Research Report
負の固定電荷を有するアルミオキサイド保護膜を用いた超高効率シリコン太陽電池の開発
Project/Area Number |
10J09476
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
入川 淳平 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 結晶シリコン / 太陽電池 / パッシベーション / ALD法 / ポイントコンタクト / 水疱 / ヘテロ接合 / 透明導電膜 |
Research Abstract |
今年度の第一の目標は、ALD法により作製されたAl203膜を現在作製している太陽電池の裏面パッシベーション膜に用いることにより、太陽電池作製プロセスにおける開放電圧を制限する要因を調べることである。ALD法によって作製されたAl203膜を用いて太陽電池を作製したところ、開放電圧は640mV程度であった。この値は、期待していた値より小さい値であり、その原因として二つの可能性が考えられる。一つはALDのAl203膜をアニールする際に水疱が形成するため、それがパッシベーション効果を低減、もしくはポイントコンタクト構造の開口率を増加させてしまっている可能性である。この現象を回避するため、アニール中の水疱形成が抑制できる方法を検討したところ、基板に製膜前に凹凸構造を作製しておくことにより、アニール中の応力が緩和され、水疱の形成を抑制することに成功した。しかし、開放電圧は依然として645mV程度と、水疱形成に関わらず低い値を示している。この結果と、量子効率や効率分布測定装置の結果から、二つ目の可能性である、開口部の再結合速度が非常に大きいことが原因と考えられる。開口部の再結合を抑えるためには、開口部に部分的に裏面電界効果層を形成する必要があり、ヘテロ接合もしくはレーザによる裏面電界効果層の作製を検討している。 今年度の第二の目標は、表面エミッタおよび透明導電膜の高品質化である。本研究では、表面のエミッタにヘテロ接合エミッタであるnc-3C-SiC:Hを用いているが、このエミッタのバッファ層の高品質化・および膜厚制御により、エミッタのパッシベーション効果が高まり、開放電圧710mVを達成できることを証明した。また、透明導電膜で新規材料を開発することにより、透明導電膜のキャリア濃度低下、および移動度を増加させることにより、フリーキャリア吸収を減少させ、短絡電流密度が増加することを確認し、コンタクト抵抗、およびシート抵抗も低い値を達成していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年3月に起きた震災の影響で実験にある程度影響が出たことが一つあります。また、太陽電池作製において、ALD法により作製したAl_2O_3膜を用いてプロセスの見直しを行なっていましたが、当初予想していた程のパッシベーション効果が得られず、その原因を調べることに時間がかかってしまったことが挙げられます。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までにおおよそ太陽電池の開放電圧を制限する要因が明らかになってきましたので、来年度以降は開放電圧および変換効率を改善できるのではないかと思います。具体的には、ポイントコンタクト構造における開口部のBSF化を行い裏面の再結合をさらに減少させ、開放電圧を向上、テクスチャ基板を用いることにより表面光反射を減少させ、短絡電流密度を向上させます。また、当初の研究計画にはありませんでしたが、太陽電池の構造にバックコンタクト構造を適用することにより、電極によりシャドウロスをなくし、さらに変換効率を向上することを検討しています。
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Research Products
(7 results)