2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシン構造による面発光レーザの波長制御技術の開拓
Project/Area Number |
10J09480
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐野 勇人 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体レーザ / 面発光レーザ / マイクロマシン |
Research Abstract |
超高速光ネットワーク応用において低消費電力動作・小型実装が可能な面発光レーザ(VCSEL)は重要なキーデバイスとなる.半導体レーザの波長温度係数は素子内屈折率の温度変化により決まり単一モードレーザではおよそ0.1nm/Kである.このような性質は面発光レーザにおいても問題であり,例えば温度変化による波長シフトや利得低下などが挙げられる.我々は,面発光レーザに熱駆動のマイクロマシン構造を集積することで波長温度係数の広範囲な制御を提案し,これまで波長分割多重通信の低消費電力化を可能とする波長温度無依存(アサーマル)動作を報告してきた.波長温度制御を目的とした半導体レーザは未開拓領域であり,今年度は提案するデバイスの加工プロセスの向上および基本諸性能の解明とその向上を目指した.半導体レーザの基本特性の1つである電気抵抗が本デバイスで高かった問題に対し,ウェハの層構造に原因があることを明らかにし,その低減に成功した.これにより提案するデバイスの信頼性・性能の向上が期待できる.また,これまではマイクロマシンの材料としてAlGaAs系を用いていたものに対して,その最上部にSiO2層の付加を選択することで波長温度係数を-0.15nm/Kから0.32nm/Kと正から負へと幅広い制御に成功した.SiO2/AlGaAsの異種材料を用いたマイクロマシン面発光レーザは,同種材料によるものに比べ大きな熱応力が得られ,更に大きな波長温度係数により低消費電力な波長可変素子の実現が期待できる.また,ポストプロセス段階で精密に波長を微調する波長トリミング技術を提案し,FIBエッチングにより片持ち梁構造を制御することで正負の両方の波長シフトが得られた.低消費電力・高密度多重通信を可能にする波長制御技術の1つの候補として期待できる.
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