2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシン構造による面発光レーザの波長制御技術の開拓
Project/Area Number |
10J09480
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐野 勇人 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体レーザ / 面発光レーザ / マイクロマシン |
Research Abstract |
超高速光ネットワーク応用において低消費電力動作・小型実装が可能な面発光レーザ(VCSEL)は重要なキーデバイスとなる.半導体レーザの波長温度係数は温度に対する素子内屈折率変化により決まり端面出射型レーザではおよそ0.1nm/Kである.このような性質は面発光レーザにおいても問題であり,例えば温度変化による波長シフトが挙げられる.VCSELは垂直短共振器であることからマイクロマシン(MEMS)の集積が可能である.これまで上部DBR反射鏡をマイクロマシン構造にすることで電気的あるいは熱的に変位制御・波長掃引をするMEMSVCSELが精力的に研究されてきた.本研究は,面発光レーザに熱駆動のマイクロマシン構造を集積することで波長温度係数の制御を提案し,これまで波長分割多重通信の低消費電力化を可能とする波長が温度に対して安定な温度無依存(アサーマル)動作を報告してきた.今年度は作製したアサーマル面発光レーザにおいて活性層への電流注入量を増大させることで熱光学効果を用いた波長掃引動作を行い,アサーマル動作と波長掃引の両立を実証した.アサーマル動作と波長可変動作の両立は,デバイスレベルでは,端面発光型半導体レーザも含めて未だ報告例がなかった.一方,面発光レーザには単一モード発振を維持するために発光面積および出力パワーが制限されるという課題があった.そのため多くの機関から研究がなされたが,活性領域の拡大に伴い高次モードに対するフィルタリングが十分でなかった.そこで本研究では,広帯域かつ高反射率な反射鏡として近年注目されている高屈折率サブ波長格子(HCG反射鏡)を面発光レーザに適用することにより,HCG反射鏡の角度依存性を利用した新しいモード制御の手法を提案し検討を行った.この手法の利点は全ての高次モードを避けることができる点にあり,大口径化による高出力化,低抵抗化,ビーム品質の向上が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面発光レーザにMEMS構造を集積し,アサーマル動作と波長可変動作の両立を初めて実現するなどの進展が得られた.デバイスの作製技術の改善に努め,デバイス駆動電圧の低減化などに成功した.また,フォトニック構造を用いた面発光レーザの新しいモード制御手法を提案するなどの成果も得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として,アサーマル面発光レーザのより大きな波長掃引量の実現を目指す.そのためにはマイクロマシン制御による波長掃引が有効であり,熱駆動のマイクロマシンを用いている本デバイスでは片持ち梁の局所加熱によるものが候補となる.今後は効率的に掃引が可能なマイクロマシン構造かつアサーマル動作との両立の極限限界など検討する予定である.加えてその実験的検証を行う必要がある.
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Research Products
(5 results)