2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシン構造による面発光レーザの波長制御技術の開拓
Project/Area Number |
10J09480
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐野 勇人 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2013-03-31
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Keywords | 半導体レーザ / 面発光レーザ / マイクロマシン |
Research Abstract |
半導体レーザの波長温度係数は素子内屈折率の温度変化で決まり単一モードレーザではおよそ0.1nm/Kである.本研究ではこれまで,面発光レーザに熱駆動のマイクロマシン構造を集積することで,波長分割多重通信の低消費電力化を可能とする波長温度無依存(アサーマル)動作を報告してきた.今年度では短距離光通信の大容量化を可能にするアサーマル面発光レーザの波長掃引に取り組んだ.大きな波長掃引量を目指し,マイクロマシンの局所加熱による機械変位を利用した掃引動作を行った.提案するアサーマル面発光レーザはマイクロマシンのバイモルフ効果を利用したものであり,これに電流を注入しジュール熱を発生させることで掃引動作も可能となる. そこで効率的な局所加熱を目指し,2つの支持部を結ぶブリッジ部とその中心から面発光レーザの発光領域へと伸びた片持ち梁で構成されたT字メンブレイン構造のマイクロマシンを新たに考案した.支持部上の電極パッドからブリッジ部に電流を注入すると発生する熱は周りが空気で囲まれているために半導体基板側へ逃げにくくなる.これにより効率的にマイクロマシン全体を加熱することができる.実際にT字型の熱駆動マイクロマシン面発光レーザを作製し,その評価を行った.発振波長の温度特性は,片持ち梁の長さ100μmの素子において,波長温度係数-0.011nm/K(通常の半導体レーザの約1/8)が得られた.今回,GaAs系面発光レーザにおいて初めてシングルモードでのアサーマル動作が得られた. 次に,ブリッジ部に電流を流すことによりマイクロマシンを加熱し,22mWの消費電力で短波長側へ約4nmの連続シフトが得られた.また基板の温度を20℃と35℃に固定した場合での波長掃引特性を測定し異なる温度で同様な波長掃引特性が得られたことから,マイクロマシン変位による波長掃引動作と,アサーマル動作との両立を実証することができた.
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Research Products
(5 results)