2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞の免役監視からの逃避に関わる樹状細胞レクチン-糖鎖間シグナルの解析・制御
Project/Area Number |
10J09530
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野中 元裕 立命館大学, 総合理工学研究機構, 特別研究員(PD)
|
Keywords | がん免疫 / レクチン / 樹状細胞 / 糖鎖マーカー |
Research Abstract |
前年度において、DC-SIGNとMac-2BPの結合にはN型糖鎖Lのルイス式糖鎖抗原が関与することが示された。本年度はまずDC-SIGNとMac-2BPの分子間相互作用について結合の見かけ上の解離定数を非線形回帰モデルを用いて解析したところ、解離定数が極めて小さい[Kd app-=2.50(±0.66)nM]ことを明らかにした。また、Mac-2BPを発現する発現結腸がん細胞株(COL0205)とヒト単球由来未成熟樹状細胞の共培養系において、樹状細胞の成熟マーカー(CD83およびCD86)の発現が抑制されることを明らかにした。次に、結腸がん患者由来のがん組織および近接の非癌組織を用いた組織染色を行ったところ、結腸がん患者の約半数においてがん粘膜上皮での抗Mac-2BP抗体による染色が顕著にみられ、またその染色部位のほとんどがrhDC-SIGNによって共染色された。一方、すべての症例において、非癌部位のMac-2BPの発現は見られなかった。がん組織上のCEAとMac-2BP間の発現の比較、およびそれらのrhDC-IGNとの染色パターンを比較により、CEAはがん粘膜上皮のapical側に限局していたのに対し、Mac-2BPの発現はapical側とbasolateral側の両方に広い範囲で発現していることが明らかになった。さらに、結腸がん患者はMac-2BP^<hlgh>/CEA^<hlgh>(18.8%)、Mac-2BP^<hlgh>/CEA^<low>(37-5%)、Mac-2BP^<low>/CEA^<hlgh>(31.3%)、Mac-2BP^<low>/CEA^<low>(12.5%)の発現パターンに分けられた。本年度の結果はDC-SIGNによる大腸がんの認識におけるMac-2BPの役割を示すとともに、Mac-2BP上に発現する、がん関連ルイス式糖鎖抗原の重要性を示唆するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の目的である、Mac-2BPとDC-SIGNの分子間相互作用の解析、および大腸がん患者由来の組織を用いたMac-2BPの発現パターンの解析に関しては著しい進展がみられた。一方、シグナル伝達の詳細は今後さらなる検討の余地があるものの、樹状細胞の分化に対して、DC-SIGNによるMac-2BPの認識が積極的に関与することを示した点でおおむね評価できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
DC-SIGNによる結腸がんの認識は、結腸がん組織に特異的に発現する糖鎖構造に依存する。結腸がん組織上には、従来知られている血液型ルイス式糖鎖抗原ではなく、ルイス式糖鎖を含む、より複雑な構造が存在する可能性が高い。今後、DC-SIGNが結合する糖鎖がどのような構造をもつかについて詳細に定義付けすることも必要であると考える。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Dendritic cell-specific intercellular adhesion molecule 3-grabbing non-integrin (DC-SIGN) recognizes a novel ligand, Mac-2-binding protein, characteristically expressed on human colorectal carcinomas2011
Author(s)
Nonaka M, Ma BY, Imaeda H, Kawabe K, Kawasaki N, Hodohara K, Kawasaki N, Andoh A, Fujiyama Y, Kawasaki T
-
Journal Title
The Journal of Biological Chemistry
Volume: 286
Pages: 22403-22413
Peer Reviewed
-
-
-
-