2010 Fiscal Year Annual Research Report
cIAP1によるユビキチン化を利用した標的タンパク質分解誘導剤の開発とその応用
Project/Area Number |
10J09667
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 幸裕 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質分解誘導剤 / プロテインノックダウン法 / cIAP1 / CRABP |
Research Abstract |
本課題は翻訳後タンパク質を任意のタイミングで分解し、ノックダウンを誘導する化合物の創製である。昨年度、ユビキチンリガーゼであるcIAP1に結合するbestatin methyl ester (MeBS)を利用して、細胞内レチノイド結合タンパク質のcellular retinoic acid-binding protein (CRABP)に対してプロテインノックダウンできる分解誘導剤の創製に成功した。しかし、この分解誘導剤は目的とするCRABPのみならず、cIAP1の分解を誘導してしまう。すなわち標的タンパク質に対する選択性が低いという課題が残った。そこで、選択性を改善するために更なる展開を行った。これまでの知見よりMeBSはcIAP1の自己分解を誘導することが知られている。すなわち、MeBSを利用したことが選択性の低さの原因だと考えられたため、MeBSを他の構造に変換することで、目的を達成しようと考えた。過去の知見とさらなる実験を経て、BE04という化合物が選択性を改善するうえで適する化合物になりうるという知見を得た。実際、MeBSをBE04に変換し、CRABPに対するタンパク質分解誘導剤を合成および活性評価をした結果、期待通りCRABPを選択的に分解する化合物の創製に成功した。さらに、CRABP分解誘導剤を利用して神経芽細胞腫細胞におけるCRABP-II機能の解明研究を行った。その結果、CRABP分解誘導剤を用いることで、神経芽細胞腫細胞においてCRABP-II分解がカスパーゼの活性化と細胞死促進を誘導することが示唆された。さらにcIAP1機能阻害とCRABP-II機能阻害は、相乗的に神経芽細胞腫細胞の増殖を阻害することを提唱できた。本研究によって分解誘導剤がケミカルバイオロジー研究に適応可能であることを示しただけでなく、創薬研究にも応用できることを示せた。
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Research Products
(5 results)