2011 Fiscal Year Annual Research Report
分解反応による新中性子ハロー核の探索および微視的構造の研究
Project/Area Number |
10J09675
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 信之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 中性子ハロー核 / 核構造 / 分解反応 |
Research Abstract |
中性子束縛限界近傍に属する中性子過剰核Ne,Mg,Siのクーロン分解反応、及び核力分解反応の測定を行い、新中性子ハロー核の発見と、殻構造の微視的理解を目指した。中性子過剰領域では、安定線上に存在する核とは異なる性質を示す核がいくつも発見されており、近年この領域は盛んに研究されている。しかし、従来のシェルモデルによる記述が困難であり、理論的な理解が不十分な状況にある。そこで、中性子束縛限界にのみ存在する特異な核、中性子ハロー核を探索し、その微視的構造を明らかにすることで、シェル構造の発達といった中性子過剰領域特有の現象を系統的に理解すること試みた。 実験は理化学研究所のRIビームファクトリーを用いて行った。鉛標的にNe,Mg,Siビームをそれぞれ入射し、クーロン分解反応の1または2中性子分離断面積を測定した。中性子ハロー核では、クーロン分解反応断面積が増大することが知られている。本研究では、この断面積を手がかりにハロー構造の有無を探った。さらに、炭素標的を用いて、核力分解断面積、分解反応後のフラグメントから放出されるガンマ線及びフラグメントの運動量分布の測定も行った。ガンマ線の解析からは、フラグメントの励起状態の情報が得られ、核力分解断面積、及びフラグメントの運動量分布の解析からは、最外殻中性子の軌道の情報が得られる。これらの解析を組み合わせることで、核の微視的構造を明らかにすることができる。現在、論文を執筆中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画してたMg,Ne,Si同位体のクーロン分解及び核力分解反応の測定を理化学研究所RIビームファクトリーで行うことができ、順調に研究が進展しているといえる。Mg同位体の解析では核力分解によって生じたフラグメントからのガンマ線が予想以上に多く放出されることがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、実験で取得したデータの解析を引き続き行う。^<37>Mgのクーロン分解反応の測定から得られた断面積は通常の原子核のクーロン分解断面積をうわまわり、この核がハロー核である可能性がある。我々は、クーロン分解の断面積の他に核力分解反応の測定も行っており、この測定から^<37>Mgの1中性子分離反応の運動量分布を決定することができる。今後、この量を詳細に解析、検討することで、^<37>Mgの最外殻中性子の軌道といった微視的な核構造を決定する。さらに、同様の解析を行うことで、Ne,Si同位体の核種の核構造を決定する。
|
Research Products
(5 results)