2011 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳合成中の特殊ペプチドの環化を指標とするリボソームトンネルの構造解析
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10J09695
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 一浩 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 翻訳合成 / 遺伝暗号リプログラミング / リボソームトンネル / 特殊ペプチド / チオエーテル結合 / クロロアセチル基 / ペプチドの環状化 / 質量分析 |
Research Abstract |
EpCAMに結合するペプチドを用いた癌細胞の標識を行った。抗体では染色できない過密状態の癌細胞でもペプチドはよく浸潤して染色できることを示し、癌細胞の塊を効率的に染色する新たな道具として、有用であることがわかった。より戦略的に細胞死を誘導し、癌を抑制する手法として、lyticペプチドという細胞毒性のあるペプチド配列を、セレクションで得られたペプチドに付加した。その結果、EpCAM依存的な癌細胞の細胞死の誘導が観察され、癌の治療に応用できる可能性を示した。また、ペプチドの環状化の選択性に関する研究を行い、論文を投稿した。ペプチド中にCys残基が二つある場合、ClAc基はいずれかのCys残基と反応したチオエーテル結合およびジスルフィド結合の三種類の結合形成の可能性が考えられる。このようなペプチドの結合形成の選択性を調べるため、モデルペプチドを調製し解析した。その結果、Cys残基が二番目で^<ClAc>Pheに隣接する場合を除き、N末端側のCys残基が選択的に反応してチオエーテル結合を形成することがわかった。二番目のCys残基は隣接する^<ClAc>Pheとは反応できず、C末端側のCys残基と反応することがわかった。さらに、^<ClAc>Pheと三つのCys残基を含むモデルペプチドを調製し、この法則がチオエーテル結合とジスルフィド結合からなる二環ペプチドにも応用できることを示し、この結合形成の選択性がペプチドの配列や長さに依存しないことから、二環ペプチドライブラリーの調製により、新たな創薬シーズが得られる可能性を示した。この結果は、今後セレクションで得られる様々なペプチドにおいて、二つ以上のCys残基が含まれる場合、結合形成を予測する上で、非常に有用な知見となる。また、チオエーテル結合とジスルフィド結合からなる二環ペプチドのセレクションへの応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究を進めて行く中で見い出された問題を着実に解決し、順調に研究を進めることができた。また、研究を進めて行く中で、発見された結果について、より詳細な解析を行うことで、新たな知見を得ることができ、それを論文にまとめることができた。以上から、当初の研究だけでなく、それ以上の研究成果を挙げていると考えられるから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は論文をまとめる上で、より詳細な実験を行うと共に、共同研究での成果もあわせて考察し、研究の仕上げを目指す。癌の標識および治療を目指す上で、非常に有用な研究結果が得られており、論文発表に結び付けたいと考えている。
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Research Products
(2 results)