2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J09719
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井之上 直也 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2013-03-31
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Keywords | 自然言語処理 / 談話処理 / 仮説推論 / アブダクション / 整数線形計画法 / 共参照解析 / 識別学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の言語理解における推論機構を計算機によりシミュレートし、談話分析へ応用することである。24年度は、推論機構のベースとなる「仮説推論」について、1.仮説選択の高速化、2.学習手法の提案、3.言語処理タスクに基づく評価に取り組んだ。 1.仮説選択の高速化:仮説推論とは、与えられた観測に対する最良の仮説を求める論理推論であり、初年度に考案した推論機構の基礎技術である。最良仮説の選択問題はNP-hardであるため、効率化は大変重要な課題である。そこで、23年度に開発した整数線形計画法にもとづく高速化法を更に拡張し、整数線形計画問題の生成と求解を相互に行い、徐々に最適解にたどり着く仮説選択手法を提案した。大規模データ上での評価実験より、既存システムに比べ大幅な高速化を達成できたことがわかった。 2.学習手法の提案:仮説選択では、複数の説明候補の中から最良の説明を選択する問題を、「説明の評価関数を最大化する説明を選択する問題」として定式化する。このため、説明の評価関数を適切に設計することが重要になるが、これを人手で成し遂げるのは容易ではない。そこで我々は、Passive Aggressiveアルゴリズム[Crammer06]を用いて、仮説推論の学習を実現する方法を提案し、実験により正しく学習が行えることを示した。 3.言語処理タスクに基づく評価:1.と2.で開発した推論エンジン・学習手法を用いて、仮説推論に基づく共参照解析モデルを作成・評価した。具体的には、複数の世界知識を組み合わせて用いることにより、文章に潜在する情報を推論し、それを解析の手がかりとする、新しい学習ベースの共参照解析モデルを提案した。性能評価の結果、現段階では期待されるほど大きな効果を得られておらず、引き続き知識ベースの大規模化や評価タスクの検討など、課題の洗い出しと改善が必要であることがわかった。
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Research Products
(9 results)