2011 Fiscal Year Annual Research Report
アポリポ蛋白EがAβの毒性と分解に与える影響の解析 : アルツハイマー病治療への応用
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10J09836
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
堀 由起子 独立行政法人国立長寿医療研究センター, アルツハイマー病研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルツハイマー病 / アポリポ蛋白 / アストロサイト |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の発症メカニズムとして、脳内に産生されたアミロイドβペプチド(Aβ)が線維化し蓄積する過程が神経細胞死を招くというアミロイド仮説が広く支持されている。また、脳内にはAβと相互作用する分子が多数存在することも知られているため、AD、特に孤発性ADの発症機序を解明する上で、このようなAβと密接に相互作用する分子がAβの存在様式に及ぼす影響を解明することは必須である。さらに、Aβのみならず、Aβと相互作用する分子自体の動態もAD発症機構の解明には重要と思われる。申請者はこのような分子の中で、特にその遺伝多型の一つであるε4アレルがAD発症の強力なリスクファクターであるアポリポ蛋白E(apoE)に着目している。apoEは脳内でアストロサイトやミクログリアによって産生され、また加齢や脳内環境によってその発現が変動することも知られていることから、グリア細胞もまたapoEの産生と脳内脂質環境の調節を介しAD発症に重要に関与している可能性を考え、グリア細胞に対するAβの障害性について、特にapoEの動態に着目して昨年に引き続き検討を行った。 マウス初代培養アストロサイトに対して様々な凝集状態のAβを投与すると、線維化が進行したprotofibrilやfibrilの投与によって細胞内apoE量が増加し、一方で培養上清中に分泌されたapoE量は減少する現象が観察された。細胞内apoE量の増加は、その局在とライソソーム阻害剤による検討から、主にライソソームの障害によって生じていることを明らかにした。また細胞外のapoE量の減少については、細胞内輸送の阻害剤やapoEノックアウトマウス由来の初代培養アストロサイトを用いた検討を行うことで、一度アストロサイトに取り込まれたapoEが再び細胞外に放出されるリサイクリングの過程に障害が生じているためであることを明らかにした。以上の結果は、線維化が進行したAβがグリア細胞にも障害性を発揮し、apoEの動態に影響を及ぼすことを示していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vtiroでの実験を積み重ね、研究成果を学術論文にまとめられるような複数のデータを得ることができた。まだ論文にまとめられていないという点で計画以上に進展しているとはいえないが、おおむね順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在の研究内容を学術論文にまとめることを中心に研究を行っていき、まとめる上で必要となる実験を追加していきたいと考えている。また、今まではin vitroの実験に集中してデータをだしてきたが、in vivoの実験にも発展・応用させて、研究を広げていきたい。
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