2010 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ独立革命の研究―英国国教会、南部植民地、ロイヤリズムの視点から
Project/Area Number |
10J09931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢島 宏紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アメリカ / 革命 / 宗教 / 公定教会 / 南部植民地 |
Research Abstract |
英国国教会が本国イギリス同様に公定教会とされていたイギリス領アメリカ南部植民地において、公定教会がいかなる政治的機能を担い、植民地住民といかなる関係にあったのかを考察している。これにより、宗教と政治・社会についての考察を統合した新たなアメリカ独立革命解釈を打ち出すことを最終目標とする。 具体的に検討している植民地は、メアリランドとヴァジニアである。メアリランドは17世紀、英国で迫害されていたカトリック教徒の避難所として、ある貴族により建設された。当初はカトリックのみならず広くプロテスタントにも寛容であったが、本国の名誉革命を受けカトリックによる植民地政治を嫌っていたプロテスタント系住民が英国国教会の公定教会化を本国の新政府と共に完成させた経緯がある。一方、ヴァジニアはアメリカ大陸最古の恒久的植民地として、17世紀初頭から独立まで一貫して英国国教会を公定教会としていた。このように宗教政策の面では異なっていた両植民地であるが、経済・社会の側面では奴隷制によるタバコ栽培という共通点を有していた。両植民地を同時に扱い、その差異も考慮することで、より精緻な南部植民地研究につなげたい。 平成22年度末の3月には、本国側の高位聖職者が南部植民地の公定教会や聖職者といかなる関係にあったのかを調べるために、史料調査を英国で行った。この調査旅行では、ロンドンにあるランベスパレス図書館を訪問し、イングランド国教会とアメリカ植民地との間で取り交わされた報告書や指示書、請願文などの手稿史料の解読を試みた。目下、入手した史料の解読と整理を行っている。平成23年度は、二次文献のさらなる調査と入手した史料の分析を続け、学術雑誌に論文として成果を発表することを目標としている。
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Research Products
(1 results)