2010 Fiscal Year Annual Research Report
ケテン-アルケン[2+2]付加環化反応を基盤とする含窒素複素環の合成研究
Project/Area Number |
10J09957
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小澤 司 徳島大学, 大学院・薬科学教育部, 特別研究員DC1
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Keywords | カルバモイルケテン / 不斉合成 / 分子内環化 / 付加環化反応 / ケテンイミニウム塩 / アルカロイド |
Research Abstract |
申請者が昨年度実施した研究の成果は以下のとおりである。 1カルバモイルケテン-アルケン[2+2]付加環化反応のスコープとリミテーション 種々の置換基を有するアリールカルバモイルケテンを本付加環化反応に付したところ、多くの基質において反応は円滑に進行し、良好な収率で対応する付加環化体が得られることを明らかにした。 2不斉反応への展開 キラルケテンイミニウム塩を用いた不斉分子内カルバモイルケテンイミニウム塩-アルケン[2+2]付加環化反応を検討した。過去にGhosez等によって報告されたキラルケテンイミニウム塩を用いる立体選択的ビシクロ[3.2.0]ヘプタノンの合成法を基に不斉脱離基を検証した。まず基質として、申請者が以前カルバモイルケテン-アルケン[2+2]付加環化反応を用いて合成を達成したカラバル豆アルカロイドのフィゾスチグミンの合成中間体であるカルボン酸と、種々のプロリン誘導体及びピロリジン誘導体から導かれるキラルケテンイミニウム塩を用いて反応を検討したところ、不斉脱離基として(R,R)-2,5-ジメチルピロリジンを用い、塩化メチレン溶媒中室温にて、トリフルオロメタンスルホン酸無水物とコリジンで処理すると収率75%, 92% e.e.で対応する付加環化体が立体選択的に得られることを見出した。 本付加環化反応は当研究室が開発した独自の方法論であり、多様な含窒素化合物ライブラリー構築及び様々な生理活性アルカロイド合成の有用なツールとなる可能性を秘めている。今回申請者は、本反応の解決すべき重要な課題であった基質の適用範囲の拡大を目指し検討を行い、所期の目的を達成するとともに、本反応を不斉反応へと展開することに成功した。
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