2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトンの生理機能とその調節メカニズムに関する研究
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10J09996
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
米山 香織 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ストリゴラクトン / 植物ホルモン / 根寄生雑草 / 地上部枝分かれ / 菌根菌 / リン酸欠乏 / 窒素欠乏 |
Research Abstract |
植物の根から分泌されるストリゴラクトン(SL)は、土壌根圏では根寄生雑草およびアーバスキュラー菌根菌の宿主認識シグナルとして、植物体内では地上部の枝分かれ抑制ホルモンとして作用する。本年度は、以下の項目を中心に調べた。 「根のSL生産・分泌に影響を与えるサイトカイニン(CK)とリン(P)の相互作用」 昨年度までにP欠乏で前培養したイネに、PやCKを与えるとSL生産・分泌が抑制されることを明らかにしている。今年度は、SL生産に影響を与えるPとCKの相互作用を詳細に検討した。SL生産に70%程度の阻害作用を示す濃度のPとCKを同時に与えたところ、相加的あるいは相乗的阻害作用は認められなかった。この結果から、PとCKはSL生産・分泌調節に関わる同じ(あるいは極めて近い)部位を制御していることが示唆された。次に、PとCKはどちらが上流で作用するのかを検討するために、CKがP代謝に与える影響およびPがCK生合成に与える影響を検討した。CKはP代謝には影響を与えず、Pはisopentenyl adenosine含量を根で低下させ、地上部で増加させることが明らかになった。 「植物ホルモンが根のSL生産・分泌に与える影響」 植物ホルモンを水耕培地に処理したときのイネのSLの質的量的変化を調べた。8種類の植物ホルモンのうち、CK,アブシジン酸(ABA),メチルジャスモン酸(MJA),エチレン前駆体(ACC)は根のSL含量および分泌量を低下させた。一方、オーキシン(IAA,NAA),プラシノステロイド(BL,CS),サリチル酸(SA)は何の影響も与えなかった。SL生産に対して阻害活性を示した植物ホルモンの影響を、根分け法を使い詳細に調べたところ、ABA,GA,MJAはPと同様にシステミックに、一方、CKとACCは局所的にSL含量を低下させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筆頭著者の論文を2報および共著論文1報を発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
夏季の計画停電および省エネ対策に備え、前半実験に集中し、停電になっても論文書きなどで足踏み状態にならないように対策する。 本年度に得られた結果をとりまとめ論文を投稿する。また、各種植物ホルモン欠損変異体を手に入れることができたため、生産するSLについて解析を行う。
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Research Products
(8 results)