2012 Fiscal Year Annual Research Report
固体電解質を含むバイアス印加多相界面におけるイオンダイナミクスの第一原理解析
Project/Area Number |
10J10039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠松 秀輔 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国際情報交換 / 韓国 / 酸化物 / 固体電解質 / 界面 / 第一原理計算 / ナノデバイス / ナノイオニクス |
Research Abstract |
金属/ジルコニア界面の空間電荷層 昨年度は、イオン欠陥からなる界面近傍の空間電荷層について、従来の連続体モデルを発展させて、結晶格子の不連続性を取り入れたparallel-sheetsモデルを考案し、計算を行った。今年度はさらに、このモデルを使って界面近傍のドーパント偏析を考慮した計算を行った。アクセプタードーパントが界面に偏析している場合は偏析が無い場合に比べて、酸化雰囲気で生じる酸素空孔欠乏層の幅が減少し、還元雰囲気で生じる酸素空孔蓄積層の幅が増加することが分かった。この内容については原著論文を投稿し、受理、掲載された。 金属表面のバイアス下ダイナミクス 抵抗変化素子への応用が期待される原子スイッチを念頭に、銅表面にバイアスがかかった状態での第一原理分子動力学シミュレーションを行った。対向電極に向けて金属イオンが移動し、架橋の生成が開始することを期待したが、シミュレーションの時間内(100ps程度)では観察できなかった。室温で行われる実験に比べてかなり高温(800K)でシミュレーションを行っており、何らかの素過程の開始が観察されても不思議では無い。従って、シミュレーションで考慮していない粒界などの影響が大きいことが示唆された。 金属/強誘電体界面の誘電応答、分極ドメイン形成 強誘電体は分極を抑えることで負の誘電率を示すことが知られている。通常は分極した方が安定であるが、薄膜化すること分極を抑えることができるとされており、本研究ではこの負の誘電率を用いて電圧増幅とキャパシタンス増幅を実現できないか、軌道分離法を用いた第一原理計算によって検討した。分極ドメインが単一であるという仮定のもとでは確かにキャパシタンスの増幅が起こることを確認した。ただし、分極を考慮すればこの限りではない可能性があり、分極を考慮した計算も開始したが、結論を得るまでは至っていないため、今後の課題とする。
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Research Products
(7 results)