2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J10088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 陽介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 大気化学 / 不均一反応 / 質量分析 / ヨウ素 |
Research Abstract |
ハロゲンは自己触媒作用によって微量でもオゾンを効率よく消費し、地表の約7割を占める海洋上で起こっている事が報告されている(Read et al.Nature 2008,453,1232-1235.)。そのため、対流圏での、特に海洋上でのハロゲンの生成メカニズムを解明する事は、オゾンの消失過程を理解する上で大きな部分を占めているということが判る。また、現状で報告されているハロゲン生成メカニズムをもちいたモデル計算では、観測データを十分に説明する事が出来ていない。未知のハロゲンの生成メカニズムとして今一番研究が望まれている分野は不均一反応を介したハロゲンの生成メカニズムである。従って、筆者は"ハロゲンの不均一反応による生成メカニズムの解明"を研究テーマとして選択し、特に反応性の高いヨウ素に焦点をあて研究を行った。 多面的に上記の不均一反応機構を調べるために、質量分析器を用いた不均一反応生成物測定装置の開発を行った。オゾンとヨウ素イオンの不均一反応の測定を行った結果、ヨウ素及びHOIの放出が確認された。HOIは大気中で光分解によりOHラジカルを生成することが知られている重要な化合物である。これまでオゾンとヨウ素イオンの不均一反応によりHOIが気相に放出されるという報告例は無く、この結果は重要であると考えられる。今後定量的な測定を行い、大気化学への影響を考察していく予定である。また同様に、一酸化窒素とヨウ素イオンの不均一反応の生成物の測定を行った。測定結果よりこの反応によるヨウ素の気相への放出が確認された。一酸化窒素とヨウ素イオンの不均一反応は報告例が無くこの結果は重要であると考えられる。今後更なる測定を行い、メカニズムの解明を行う予定である。装置開発として中赤外レーザー分析法の開発も平行して行った。差周波発振中赤外分光法と波長変調分光法を組み合わせた装置を開発し気相N_2Oの測定を行った。また、量子カスケードレーザーを用いた中赤外レーザー分光装置の開発も行い、気相HO_2ラジカルの測定を行った。将来的に不均一反応生成物の同定及び定量への応用を考えている。
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[Journal Article] Measurements of aerosol optical properties in central Tokyo during summertime using cavity ring-down spectroscopy : Comparison with conventional techniques2010
Author(s)
T.Nakayama, R.Hagino, Y.Matsumi, Y.Sakamoto, M.Kawasaki, A.Yamazaki, A.Uchiyama, R.Kudo, N.Moteki, Y.Kondo, K.Tonokura
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Journal Title
Atmospheric Environment
Volume: 44
Pages: 3034-3042
Peer Reviewed
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