2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞レベルでの色素解析手法による紅色光合成細菌の光合成調節機構の解明
Project/Area Number |
10J10137
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
伊佐治 恵 立命館大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 立命館大学 / 科研費 / 光合成細菌 / 単一細胞 / クロロフィル / 高速液体クロマトグラフィー / 蛍光検出器 |
Research Abstract |
本研究では、光合成細菌の持つ光合成色素クロロフィルを定量的に分析し、光合成細菌がどのように自身の光合成反応を最適化しているかを調べることが目的である。培養液から単一の細胞を採取し、単一細胞内に含まれる光合成色素を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で超高感度に分析する。これまで光合成色素の定量的な分析は行われておらず、本研究は世界的にみても初の試みである。一年目で、単一細胞に含まれる微量クロロフィルを分析するため、従来よりも高感度な分析系を構築した。 1.確立した高感度分析系におけるクロロフィルの検量線を作成 一年目の研究成果を利用し、緑色光合成細菌の一細胞に含まれる色素の絶対量を調べようと考えた。単一細胞に含まれる色素の絶対量をHPLCクロマトグラムから解析するためには、本分析系におけるBChl-cの検量線が必要である。そこで、BChl-cの評品を用いて7.01fmolから0.36fmolまでのオーダーで検量線を作成した。この結果、BChl-cの検量線式は、この分析系においてy=77104x+1881.7(R^2=0.9995)と決定された(yの値は蛍光強度)。得られた検量線を用いて、緑色硫黄細菌Cba.tepidum、および緑色糸状細菌Chloroflexus(Cfl.)aurantiacusの単一細胞に含まれる色素絶対量を調べた。 2.単一細胞に含まれる色素の解析 Cba.tepidumとCfl.aurantiacusの単一細胞分析を試みた。単一細胞単離にはセルソーターを用いた。Cba.tepidumで3種のホモログ体に対応するピークが確認できた。また、Cfl.aurantiacusでは、17位の長鎖構造が異なるBChl-cが5本のピークとして確認できた。クロマトグラムのピーク面積から、緑色光合成細菌の単一細胞に含まれるBChl-cホモログの組成は、バルクでの場合と大きな違いがないことがわかった。さらに、これらの光合成細菌一細胞に含まれる色素を、1.で求めた検量線を用いて計算した。その結果、Cba-tepidumでは約2.6fmol、Cfl.aurantiacusでは約4.2fmolのBChl-cが含まれることが示された。
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Research Products
(3 results)