2012 Fiscal Year Annual Research Report
SLC26ファミリーにおけるトランスポーターとチャネルの差異決定機構の解明
Project/Area Number |
10J10203
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤田 恭輔 富山大学, 大学院・医学薬学教育部(薬学), 特別研究員(DC1)
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Keywords | SLCトランスポーター / イオンチャネル / 塩素イオン / パッチクランプ法 / 胃酸分泌細胞 / H^+,K^+-ATPase |
Research Abstract |
SLC26A輸送体の機能発現の分子メカニズムおよび生理的役割について研究を行った。 1、Cl^-チャネルとして機能するSLC26A9の397番目のバリン残基は、SO_4^<2->トランスポーター(SLC26A1,2)で保存されているアミノ酸残基をはじめ、ほぼすべてのアミノ酸で置換不可能であり、タンパク質発現に必須の部位であることを明らかにした。 2、SLC26A9とH^+,K^+-ATPaseの共発現細胞においてA9とH^+,K^+-ATPaseが分子会合していることを免疫沈降法により見出した。しかし、パッチクランプ法およびATPase活性測定の結果より、SLC26A9のチャネル機能とH^+,K^+-ATPaseのポンプ機能は独立していることが示唆された。 3、SLC26A7発現ベクターを導入したH^+,K^+-ATPaseβサブユニット安定発現HEK293(HEKβ)細胞において、A7タンパク質の発現が見られた。しかし、発現するSLC26A7の原形質膜への分布はわずかであるため、原形質膜での発現には、さらなる発現補助因子が必要であると考えられた。 4、SLC26A7ノックアウトマウスを用いた研究により、エタノールによる胃酸分泌細胞の傷害性がA7欠損により増悪することを組織学的に見出した。パッチクランプ法により、A7ノックアウト胃酸分泌細胞のCl^-電流値の大きさは野生型に比べ有意に小さく、両者の差分の電流は、Cl^-チャネル阻害薬のDPCに感受性でありA7由来の成分であると考えられた。また、cGMP誘導性のCl^-電流上昇およびエタノール傷害に対する保護効果が、A7欠損により消失した。これらの結果より、胃酸分泌細胞においてSLC26A7とは別にエタノール傷害に対する保護効果をもつCl^-チャネルが存在し、SLC26A7はそのチャネルの調節に関わり、細胞防御機構に必須の分子であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)