2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄系超伝導体から始まる新機能性材料のナノテク・イノベーション創生
Project/Area Number |
10J10227
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
尾崎 壽紀 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | iron-based superconductor / FeSe / wire / critical current density / FeSe_<1-x>Te_x |
Research Abstract |
2008年2月,細野グループの神原らにより、鉄系超伝導体LaFeAsO_<1-x>F_x(超伝導遷移温度T_c=26K)が発見されたことを契機に類似の結晶構造を持つ超伝導体の発見も相次いだ。これらの結晶構造の中でFeSeなどの11型鉄系超伝導体は、高い上部臨界磁場を示しながら、LaFeAs(O,F)などの他の鉄ヒ素化合物と比較して毒性が低く、結晶構造が単純であるため応用への可能性が期待されている。本年度は、11型鉄系超伝導体を用いて超伝導材料の重要な応用の一つである超伝導線材の作製に取り組んだ。線材作製にあたり最も簡便な方法として知られているパウダー・インチューブ(PIT)法を用いた。PIT法としては原料の混合粉末を金属管に詰めるin-situ法と超伝導体の粉末を詰めるex-situ法がある。我々は、鉄系超伝導線材では初めてex-situ法で作製した線材において熱処理を施さずとも電気抵抗がゼロになることを確認した。さらに、in-situ法で作製した線材においては鉄系超伝導体で初めて多芯線の作製に成功し、臨界電流密度J_c>1000A/cm^2を観測した。これらの結果は今後、鉄系超伝導線材の研究・開発をする上で非常に重要であると考えられる。
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