2011 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀ポルトガル領モザンビークの社会変容―南アフリカ金鉱労働力の供給を中心に―
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10J10346
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
網中 昭世 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | アフリカ / 移民 / 移民労働 / 植民地支配 / 南部アフリカ / ポスト・アパルトヘイト / モザンビーク |
Research Abstract |
2年目となるH23年度は、1年目の研究成果を年次前半に日本アフリカ学会において報告したほか、学術誌とは異なる形でのアウトリーチ活動の一環としてエッセイを執筆する機会を得た。(業績には該当しないため未記載:「紛争、社会主義、経済成長-非日常の連続の中で「日常」を保つモザンビーク農村女性たちの営み」『Field+』第6号、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2011年、8-9頁。)また、1年目のインタビュー調査の分析を踏まえて、質問事項について検討を加え、8月のフィールド・ワークでは、1年目と同じインフォーマントに対する補足調査を行った。本年度のインタビュー調査では、過去の補足調査に加え、近過去である1990年代以降のモザンビーク・南アフリカの状況にまで対象を広げ、聞き取り調査を行った。 さらに、研究計画を作成した段階では予定されていなかったものの、H22年度から2年間にわたるアジア経済研究所の共同研究会「ポスト移行期南アフリカの社会変容」に参加し、最終年度のH23年度は最終報告書を提出し、これは現在出版・公表準備中であるほか、南アフリカ研究者との研究交流を深めることが可能となった。この点は本研究の3年目の課題としていた南部アフリカ地域への研究対象の拡大を部分的に達成している。上記の共同研究に参加したことで新たに得た知見を自らの研究に盛り込み、津田塾大学国際関係研究所内部研究会において報告した後、同研究所が発行する『IICS Monograph Series』No.19として論考「南部アフリカ鉱山労働者の経験からみるアフリカ人の間の差異化・差別化の起源-アパルトヘイト廃絶後の南アフリカにおける外国人排斥に関する試論-」を発表した。いずれも、現代までをも射程に入れた実証的な歴史研究の意義を持つ成果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を発表する学会などには多少の変更もあるものの、第2年次の段階から最終年度の取りまとめの課題である20世紀モザンビーク・南アフリカ間関係の通時的把握と社会変容の連関についての考察に着手できた点は、当初の計画を上回るペースで進展している。また、共同研究の成果発表として個人研究課題を活かしつつ、他分野の研究者との論集を組むに至った点も評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年次に計画していた英語論文の投稿は、第3年次前半の国内の日本アフリカ学会での報告および南アフリカで開催される世界経済史学会において報告を行ったうえで、報告へのコメントなどを反映した上で、投稿を行う。 また、第2年次に取得した博士論文は、成果として出版するために年次後半において研究成果として出版する予定である。
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Research Products
(4 results)