2010 Fiscal Year Annual Research Report
千島沈み込み帯で発生した巨大地震の発生パターンを津波数値計算を用いて解明する研究
Project/Area Number |
10J10436
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊尾木 圭衣 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 津波数値計算 / 巨大地震 / 千島 / すべり量分布 |
Research Abstract |
千島沈み込み帯は様々なタイプの巨大地震が多く発生する場所である.千島沖巨大地震の発生パターンを解明するため,過去の巨大地震について津波波形解析を行い詳細な破壊域を解明することを目的とし研究を行った.今年度は1963年千島沖巨大地震の本震と最大余震について研究を行った.この地震はプレート境界型地震である(Mw 8.5, Mt 8.1).また7日後に最大余震が発生した(Mw 7.2, Mt 7.9),本震の場合,24個の小断層を用いて津波波形インバージョンを行い,各小断層のすべり量を求めた.その結果断層モデルの中間の深さと浅い場所に大きなすべり量がみられた.Moは2.4×10^<21>Nm(Mw 8.2)と推定された.1963年,2006年千島沖巨大地震は近くで発生しているが,これらの地震の破壊域は重複しておらず,また空白域は存在しないことがわかった.次に最大余震の場合,9個の小断層を用いて津波波形インバージョンを行いすべり量分布を求めた.最大余震は本震の破壊域の南西側で発生した.Moは1.2×10^<21>Nm(Mw 8.0)と推定された.これらの結果は国際雑誌Pure and Applied Geophysicsに掲載され,国際学会(Asia Oceania Geosciences Society, 2010)や国内学会(地球惑星科学連合2010年大会)で発表をおこなった. また,1958年択捉島沖地震について研究を行った.この地震はやや深い場所で発生したプレート境界型地震とされていた.しかし最近ではスラブ内地震とされている.本研究では津波波形解析よりこの地震のパラメータ(dip, depth, slip)を求めた,dip, depthを変化させその他のパラメータは固定し津波数値計算をおこなった.その結果スラブ内地震モデルの津波の計算波形が観測波形とよりfitすることがわかった.次にスラブ内地震モデルのパラメータを用いて,破壊域を変化させ津波数値計算をおこなった.しかしもとの破壊域のモデルから計算された津波波形が観測波形を最もよく説明できることがわかった.Moは1.5×10^<21>Nm(Mw 8.1)と推定された.この研究成果は国際学会(Asia Seismological Commission 2010)や国内学会(日本地震学会2010年度秋季大会)で発表をおこなった.
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