2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J10469
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上田 麻理 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚障害者 / 音環境 / 雨天 / 聴取実験 / 降雨騒音低減 / 評価 / 聞き取りやすさ / ランバートエフェクト |
Research Abstract |
雨天時に生じる傘の降雨騒音は視覚障害者が歩行する上で,視覚障害者が普段手掛かりにしている音情報の聴取妨害を引き起こし,交通事故等の危険性があることが問題となっている.そこで,本研究では傘の降雨騒音を低減し,歩行の安全を確保することための支援策を提案することを目的とした.今年度は,傘の雨滴衝撃音を低減させる傘の制振性に関する検討結果に基づき実際に傘の開発とその評価を行った. 傘の上層部にメッシュ生地を用いた二重構造傘の開発を行った.さらに,開発した傘の効果と使用感を検証し,視覚障害者が実際に使えるものであることを示すために,雨量を変化させた降雨騒音下において高親密度単語を用いた音声の聞き取りやすさに関する評価実験を行った.その結果,降雨量が10mm程度のやや強い雨の場合は従来の傘に比べ単語了解度が30%程度上昇することを確認した. 降雨騒音低減傘の開発・使用感評価により,雨天時の歩行環境において,視覚障害者がこれまで困難だった傘の降雨騒音下での音情報の取得が可能になった.この成果は,視覚障害者の雨天時の歩行環境の安全確保につながるものと言える.
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