2012 Fiscal Year Annual Research Report
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10J10472
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野尻 明宏 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 構像変化 / アゾベンゼン / ペプチド / 触媒 |
Research Abstract |
適時構造変化による適時機能変化型触媒というテーマに対して触媒の溶解性を制御することによって触媒機能を制御できないかと考えて取り組んだ。昨年度ヘテロキラル凝集現象を起こす骨格を持ったジアミド分子内に光異性化するアゾベンゼンを導入することで、異性化により凝集体の水素結合ネットワークに影響を与え、ヘテロキラル凝集を光制御することを目指し、適切な位置にアゾベンゼンを導入すると、アミドのR体S体混合物は、アゾベンゼンがトランス型の時はヘテロキラル凝集を起こし、紫外光照射によるシス型への光異性化により凝集体は解離し溶解することを見出した。また続いて可視光照射により再びトランス型へ異性化させると凝集体を与ることがわかり、この凝集/解離のサイクルは繰り返し再現可能であった。 そこで昨年度見出した分子骨格を基に触媒活性部位を分子構造に取り込むことで溶解性を自在に変化させることができる触媒の開発に取り組んだ。触媒活性部位として求核性をもつξリジン基を有する触媒を合成したところ、その化合物自体がヘテロキラル凝集現象に関係なく光によって可逆的に溶解性が変化することが分かった。合成した触媒を用いてモデル反応としてフェノールのBoc化を行ったところ、触媒の溶解性によって反応性に有意な差が得られることを見出しました。この触媒は他の反応に用いる際も触媒の溶解性を変えることで触媒活性を制御できることが分かった。また、詳細な解析の結果、触媒の溶解性と反応性とは強い相関があることがわかり触媒の溶解性を制御することによる反応性制御が有効な手法であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自在に触媒機能を調整することのできる触媒の開発を目指し、溶解性の制御というアプローチで触媒の活性を制御できたという点で評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこのアイデアを発展させて、実用的な触媒の開発を目指す。
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Research Products
(1 results)