2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のフォールディングを促進する低分子化合物に関する医薬化学的応用研究
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10J10583
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大金 賢司 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | NPC1 / ニーマンピック病C型 / フォールディング / pharmacological chaperone / オキシステロール / ステロール結合部位 |
Research Abstract |
当該年度の成果は、大きく二点ある。 一つ目は、創製したステロール誘導体の患者由来細胞における内在性NPC1変異体に対する有効性に関する成果である。これまでは、過剰発現させたNPC1を用いて構造活性相関研究を進め、NPC1に対する高活性なpharmacological chaperoneを見い出してきた。当該年度では、それらステロール誘導体が患者由来細胞の内在性NPC1変異体に対してもpharmacological chaperoneとして作用すること、さらに変異体を機能的にrescueすることが可能であること、を示した。これにより、ニーマンピック病C型の新たな治療法の提案ができたものと考えている。 二つ目は、本研究から派生した基礎研究から得られた、NPC1のステロール結合部位に関する知見である。昨年度には、NPC1の既知のステロール結合部位以外に、新規のステロール結合部位が存在することを示唆する結果を得た。当該年度では、その結果に基づきphotoaffinity labeling probeを創製し、新規ステロール結合部位の存在証明を行った。この結果は、NPC1がどのように細胞内コレステロールの輸送に関わり制御されるのか、研究を進める上での新たな指針を提示するものであると考えている。ここで得られたphotoaffinity probeを用いることで、存在証明のみならずアミノ酸レベルでの結合部位同定が可能になると考えており、現在この方法で結合部位同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
患者由来細胞において、ステロール誘導体によりNPC1変異体が機能的にもrescueできる可能性を示した。 また、昨年度までに、NPC1のN末端ドメイン以外の結合部位の存在を示唆する結果を得ていたが、今年度においてはphotoaffinity labelhgによる結合証明を行った。これにより、結合部位の同定への足がかりができた。 以上、二点の理由から、上述のような評価をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は、新規ステロール結合部位の同定とその機能的意義の解明である。 これまでに創製したphotoaffinity probeを用いて、deletion mutagenesisおよび質量分析による結合部位同定を進める。 同定した結合部位への変異導入や、化合物を阻害剤として用いることで、新規ステロール結合部位の機能的意義を調べる。
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Research Products
(4 results)