2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマセクレターゼ阻害剤および作用機構探索に用いる分子の開発
Project/Area Number |
10J10645
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今村 優希 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | γセクレターゼ / βペプチド |
Research Abstract |
筆者は、これまでに安定なヘリックスをとる(S,S)-2-Aminocyclopentanecarboxylic acid(ACPC)からなる12 merのβペプチド(S-12)が強いγセクレターゼ阻害活性を示すことを明らかにしている。さらに活性の高いβペプチドの開発およびγセクレターゼが基質をどのように認識しているかを明らかにする目的で研究を進めた。これまでの結果から、N末から3番目のアミノ酸残基が重要であることが明らかとなったため、N末から3番目のアミノ酸残基を様々なβアミノ酸に置換した誘導体を合成し、阻害活性を評価した。その結果、S-12と比べ10倍程度高い阻害活性を示すものを見出した。そして、側鎖がコンパクトなものが活性が高いことが明らかとなり、γセクレターゼはコンパクトな側鎖を認識しやすいことが示唆された。また、非天然の側鎖を有するβアミノ酸の合成をスイス連邦工科大学チューリッヒ校のJefferey Bode教授のもとで行った。今後非天然の側鎖を有するβアミノ酸に置換した誘導体を用いることでさらに活性の高い阻害剤を見出すことができる可能性があるため、非天然の側鎖を含んだ阻害剤を合成する予定である。また、低分子のヘリックスミミックを用いた阻害剤の開発にも着手した。疎水性のアミノ酸残基からなるβペプチドで強い阻害活性を示していたため、γセクレターゼはペプチドの疎水性の面を認識していると考え、疎水性の面を形成するヘリックスミミックをデザインした。骨格はこれまでにヘリックスミミックとなることが報告されているベンゾイルウレアを用い、側鎖は疎水性の高いイソブチル基を導入したものを合成した。阻害活性を検討したが、低分子ヘリックスミミックでは全く阻害活性を示さなかった。この結果から、γセクレターゼが単純に一つの疎水性の面のみを認識しているわけではないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リードとなるβペプチドよりも10倍程度阻害活性の高い化合物を見出すことに成功しており、それらは細胞系において異なる基質選択性を示すことを明らかにしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
活性は向上したものの、基質の選択性はそれほど良好ではない、そのため、異なるヘリックスの形、非天然の側鎖を含む阻害剤などをデザインし基質選択的な阻害剤の開発を目的に研究を進める。
|
Research Products
(1 results)