2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症における社会的認知能力の発達課程-脳科学的アプローチによる検証-
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10J10674
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
本多 結城子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発達障害 / 脳波 / 電気生理 |
Research Abstract |
今年度予定していた自閉症児の脳活動記録は準備段階までしか着手することができなかったが、顔認知の健常発達過程についての基礎研究成果は報告することができた。 まず、7~8カ月児を対象として発達初期の段階での顔認知時の脳活動について近赤外分光法を用いて検討した結果について示す。母親顔と他の女性顔を比較した所、右側頭の総ヘモグロビンが母親顔、他の女性顔共に有意な上昇を示していた。一方、左側頭では母親顔のみが有意な上昇を示したが、他の女性顔では有意な上昇がみられなかった。このことは、発達早期の段階ですでに顔の新密度によって脳活動に違いが生じていることを示している。これらの成果は発達障害と健常発達過程との違いが発達早期の乳児期の段階ですでに生じている可能性を示す重要な知見といえる。 次に健常小児の表情認知時の脳活動について、脳波を用いた検討について示す。3つの年齢群(7~10歳・11~14歳・23-33歳)について4つの変化条件(ノーマル顔から幸福顔・幸福顔からノーマル顔・ノーマル顔から怒り顔・怒り顔からノーマル顔)を比較した所、すべての年齢群と条件で両半球の後側頭付近、150~300ミリ秒に活動を検出した。これらの活動は23-33歳群で他の年齢群よりも有意に速く、大きな活動であった。このことは顔認知の発達が14歳以降も続いていることを示している。これらの成果は発達障害と健常発達過程との違いを調べる上での基礎となる重要な知見といえる。
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