2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症における社会的認知能力の発達過程―脳科学的アプローチによる検証―
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10J10674
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
本多 結城子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発達障害 / 脳波 / 電気生理 |
Research Abstract |
平成23年度は共同研究機関での共同研究を中心に活動した。22年度からの継続として、顔認知の基礎データの報告、発達障害についての情報収集、自閉症関連の機関への視察も行った。23年度は共同研究機関として機器借り入れの打ち合わせをしていた機関が震災の影響を受けて機器の借り入れが困難となったため、脳機能計測機器を使用させてもらえる機関として東京大学医学部附属病院に依頼し、共同研究に加わった。 共同研究としてはMEGとERPを用いたSEPの基礎研究を中心に行った。これは自閉症の感覚過敏の検証に応用する事を目標にして進めている研究である。健常成人における自閉症への応用についてはSEPの刺激として電気刺激を用いている方法では刺激部位への違和感や電気刺激に対する恐怖感が生じやすく、解析可能なデータを記録するのが難しいことがわかった。そこで、刺激呈示に使用している電極の代わりにプラスチック製の特別な刺激電極を用いることを考案した。この電極で同じSEP反応を惹起可能であることを現在確認中である。この刺激方法以外でも自閉症のデータ計測についてはノーマルコントロールと同条件では実施が難しい点が明確になった。現在は自閉症者の情報を集め、実験内容の推敲を行っている。 研究報告としては、生理学研究所との共同研究でMEGを用いた顔の輪郭とパーツ処理についての基礎研究による結果を報告した(Brain Res.,2011)。この結果は自閉症とノーマルコントロールとの顔認識方略の差異を検出するために重要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究機関の変更などがあったがコントロール実験は遂行できていることから、おおむね順調に進展しているといえる。有効な自閉症のデータを記録できていないが、この点については自閉症を対象とした実験が計画通りに遂行できない可能性は計画段階から想定していたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画としては、これまで行ってきたクリニカルデータの蓄積の継続、ノーマルコントロールでの予備実験の実施に加え、自閉症の実験データの計測があげられる。自閉症については現段階で計測が可能で実験に協力可能な被験者は限られていることから、自閉症での基礎データの蓄積を目標とする。 また、24年度は本研究課題の最終年度となるため、これまでに計測した基礎実験データをまとめたものを論文にまとめ、学術学会で発表することを予定している。
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