2010 Fiscal Year Annual Research Report
フェノール性水酸基からフルオロ基への求核的置換法の開発と18Fプローブの創製
Project/Area Number |
10J10791
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
根本 裕之 静岡県立大学, 薬学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | カテコール / フェノール性水酸基 / 含フッ素化合物 / 求核的フッ素化 / 環化反応 / Allocolchinoid |
Research Abstract |
医薬,農薬などの生物活性物質の特定位置へのフッ素導入は,生物学的等価体の概念やミミック効果やブロック効果などを期待して,医薬品開発等の場面で汎用される。これまでに脂肪族化合物の水酸基からフルオロ基への変換が数多く報告されてきたが,同様なフェノール性水酸基のフルオロ基への変換はほとんど報告が無い。申請者は,H21年度にカテコール化合物の水酸基の一つを求核的にフルオロ基へ変換する前例の無い手法を見出している。本研究ではその生物活性化合物への適用,更に新規結合形成を伴う求核的フッ素導入法の開発を目的とした。本年度は,研究実施計画に基づき以下の成果を得た。 1.H21年度に見出した手法をドーパミンやカテキン類に適用した。その際,これらの化合物がもつ反応活性な官能基の選択的な保護が必要となり,目的に適う保護・脱保護法を見出し,目的を達成した。この一連の変換法は,生物活性を示す天然のカテコール化合物から含フッ素誘導体を効率的に調製する新規な方法となった。 2.4位に3-アリールプロピル基を持つカテコールに対し求核的フッ素導入法を適用すると,フッ素導入と分子内アリール基からの環化反応が一挙に起こり,ジベンゾシクロヘプタン骨格を持つ三環性化合物が一工程で得られた。本法で得られるジベンゾシクロヘプタン構造は天然物Allocolchinoidの基本骨格であり,H23年度で条件の最適化を行い,多様な含フッ素Allocolchinoidの簡便合成法として確立する。
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