2011 Fiscal Year Annual Research Report
両眼の非対称な運動特性に着目した3次元空間内での巧みな視覚性運動制御機構の解明
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10J10821
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
國部 雅大 大阪体育大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 輻輳 / 開散 / 利き目 / 眼と手の協調 / 注視 / 眼球運動 / 3次元空間 / スポーツ |
Research Abstract |
本研究課題は、3次元空間内において素早く正確な身体運動制御を実現する上で、両眼眼球運動の貢献しているメカニズムを解明することであった。研究2年度目となる平成23年度は「スポーツ選手における両眼眼球運動特性」をテーマとし、球技選手を対象に、3次元空間での素早い注視移動を行う際の左右の眼球運動特性を比較することを目的とした。 大学バスケットボール選手(右目利き63名、左目利き19名)を被験者とし、被験者は眼球位置の前方20cmと150cmの位置に交互に呈示されたターゲットLEDを注視することにより、奥行き方向への注視移動(バーゼンス)を行った。両眼の眼球運動は眼電図を用いて左右個別に測定し分析を行った。 その結果、右目利きの被験者群においては、奥行き方向への注視移動を開始する際に、非利き目側が利き目側に比べ眼球運動の潜時が長かった。一方、左目利きの被験者群においては、両眼眼球運動の潜時の差において一定の傾向がみられなかった。これらの結果から、奥行き方向の注視移動において、右目利きの選手と左目利きの選手がそれぞれ異なった両眼眼球運動制御機構を有している可能性が新たに示された。 また、眼球運動の中長期的なトレーニング効果について検討するため、被験者のうち28名については両眼眼球運動の定期的な測定を行い、縦断的なデータを得た。今後、眼球運動のトレーニングにより両眼眼球運動特性が変化するかについて検討すると共に、両眼眼球運動特性とスポーツスキルとの関連性について検討していく。また、3次元空間内における両眼眼球運動と上肢運動の協調制御に関する実験を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、多数の選手を対象に両眼眼球運動の横断的および縦断的なデータの取得を行うことができた。また本年度途中からは、カナダ・ヨーク大学に滞在し、空間内での正確な上肢到達運動を行う際の注視の貢献に関する実験を開始しており、当初計画した通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間で両眼眼球運動に関する多くのデータを測定することができたため、最終年度にあたる24年度は、これらのデータをまとめて国際学術論文誌への投稿を行う。また、これまでに得られた知見に加えて上肢運動の制御に着目し、両眼眼球運動と巧みな上肢運動の協調制御を明らかにするための実験を行う。そのため、海外の研究機関における研究を引き続き継続し、これらの協調制御における神経機構に関する知見を得るための実験もあわせて行うことで、研究を発展させていく予定である。
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