2010 Fiscal Year Annual Research Report
拡張ヒッグス模型の包括的な現象論研究による素粒子標準模型を超える新物理模型の決定
Project/Area Number |
10J10873
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柳生 慶 富山大学, 理工学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 拡張ヒッグス模型 / ニュートリノ質量 / 超対称性模型 / 加速器実験 |
Research Abstract |
研究目的に基づき拡張ヒッグス模型に関して次の3項目:1.理論的制限の研究、2.加速器実験での模型の区別・検証の可能性、3.新たなTeV領域でのニュートリノ質量を説明する模型の構築、に分けて研究を行った。1.についてはニュートリノ質量、暗黒物質そして宇宙のバリオン数非対称性の問題をTeV領域の物理で同時に説明し得る模型(Aoki,Kanemura,Seto,Phys.Rev.Lett.102)の理論的制限として真空安定性条件及びトリビアリティバウンドを計算し、この模型は10TeV程度までそれらの条件を満たすパラメータ領域が存在することを明らかにした。2.に関して、拡張ヒッグス模型の共通特性である荷電ヒッグスボソンに注目し、荷電ヒッグスボソンと弱ゲージ場(W^±,Z)の3点結合のILC実験での測定可能性を研究した。この結合定数を測定することにより、ヒッグス3重項を含むようなエキゾチックな模型に制限を加えることができる。パートンレベルのシミュレーションの結果、この結合定数の2乗の大きさが10^<-3>程度まで、95%の確からしさで排除できることを明らかにした。また拡張ヒッグス模型を含む様々な超対称性模型の予言するヒッグスボソンの質量とヒッグス3点結合の研究を行った。特に標準模型的なヒッグスボソンだけが軽い状況で、様々な超対称性模型の予言する上記2個の観測量に違いが出ることを示した。現在稼働中のLHC実験で近い将来に、ヒッグスボソンが発見され、その質量が測定されれば、この研究によりあるクラスの模型は排除できることが明らかになった。3.に関しては、2ループでニュートリノ質量を導出する新たな超対称性模型の構築を行った。この模型はニュートリノ実験やレプトンフレーバーの破れの実験等のデータを説明でき、LHC実験で特徴的なシグナルが見られる可能性があり、検証可能性のあることを明らかにした。
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