2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞の骨格筋分化誘導を利用した細胞遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
10J40134
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
笠原 優子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所遺伝子疾患治療研究部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 細胞移植 / 骨格筋 / 間葉系幹細胞 / 筋分化 / 筋ジストロフィー / 骨格筋分化誘導因子 / モデル動物 / dog leukocyte antigen |
Research Abstract |
本研究課題では、新たな細胞移植治療法の開発として骨髄間葉系幹細胞(MSCs)の骨格筋分化能を誘導し、これを利用して筋線維の再生を促すといった、筋ジストロフィーに対する欠損遺伝子補充型の新しい細胞遺伝子治療法の確立を目指している。本年度は、筋ジストロフィーモデルマウスへの移植実験、およびイヌを用いた移植実験に向けてのレシピエント犬選定、細胞調製法の確立を行った。 まず、MSCsに筋分化誘導スイッチとしてMyoDを一過性強制発現することにより、従来法に比べて短期間で簡便な筋分化誘導方法を確立した。MyoDによるMSCsの筋分化誘導能を利用して、マウスへの局所的移植を行い、生体イメージング装置を用いて移植細胞のマーカー遺伝子発現を経時的に観察することにより、移植細胞の生着能を評価する系を確立した。さらに移植組織でのMSCsの筋分化、IL-10局所投与による抗炎症効果が示唆された。 次に、この移植条件を基にイヌへの同種移植を試みる予定であるが、イヌへの移植実験については、有用な研究資源としてDog Leukocyte Antigen (DLA)合致コロニーの繁殖を推進した。また、正常犬骨髄液よりCD271陽性細胞を濃縮してMSCsの大量調製方法を確立することができた。このCD271陽性MSCsは未分化であり、MyoDによる筋分化能を有することも確認した。 以上の研究成果より、筋ジストロフィーモデル犬への移植実験に向けた基礎的条件を確立することができた。また、将来的にはMSCsの筋分化能を利用した筋ジストロフィーに対する移植治療への可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)