2011 Fiscal Year Annual Research Report
電気推進・ソーラーセイルの運用性を考慮した深宇宙探査機軌道設計ツールの開発
Project/Area Number |
10J40142
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
森本 睦子 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 月惑星探査プログラムグループ, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 航空宇宙工学 / 深宇宙 / 軌道設計 / 電気推進 / ソーラーセイル |
Research Abstract |
本研究は、「電気推進」や「ソーラーセイル」等の低推力で連続加速をするエンジンを用いた探査機の「運用性」に着目した軌道計画の研究を行う事を目的としている。2010年6月に地球に帰還した「はやぶさ」と同年5月に打ちあがったソーラーセイル実証機「IKAROS」の実ミッションから「運用性」を検証し、運用性を考慮した軌道設計理論を構築し、ツールの開発を行う。将来的にはこの二大低推力推進のハイブリッド型である「ソーラー電気推進」への応用を見据えて研究を行う。 2年目では、設計理論の構築とツールの開発に着手する研究計画を立てており、2010年6月に開始した本研究は現在2年目の第4クォーターに入ったところである。現在「IKAROS」は延長して運用中であり、光子加速の解析および軌道決定手法が検討されつつある。並行して、「はやぶさ」の後継機を開発中で「はやぶさ」の経験からより実用的な軌道を検討中であり、プロジェクトとしての課題がいくつか抽出されている。設計理論とツールの開発も着手しており試作段階であるが課題が抽出されている。1つ目は、計算プログラムの問題であり、予想どおりではあるが、解を収束させるための初期値が定まらない。最適化手法にはいくつか種類があるが、低推力推進の場合は、燃料の最少化のよりも多くの制約を満たす必要がある事を考えると、解の探索方向は制約をまず満たし、その上で燃料をできるだけ少なくする手法をとるべきである。大域的な準最適解を得るようなプログラム構成にすることも検討中である。また、そのような最適化手法をしたとしても、探索の初期値はある程度は力学的な観点から選ぶべきであり、初期値の与え方を研究中である。2つ目はプロジェクト独自の制約なのか、汎用的な制約なのかを見極めることである。机上の研究では見過ごされている実在する制約等を実プロジェクトから得つつも、広く拡張できるものにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおり、設計理論の構築とツールの開発に着手しており、課題の抽出も行われているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定では、現在抽出されている課題1)最適化手法を初期値の問題、2)プロジェクト独自の制約なのか一般的な制約なのかを見極める、を解決しつつ、何度か設計理論の構築とツールの開発を繰り返し、実ミッションを想定しつつも、1つのプロジェクトの固執しない汎用性の高いツールを開発する事である。すでに、理論の構築とツールは着手しているが、今後は、調査、解析も進めながら、理論の構築とツールの開発を重点的に行う。
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