2011 Fiscal Year Annual Research Report
一夫一妻制鳥類におけるつがいの絆と聴覚記憶 : 性差の検討
Project/Area Number |
10J40174
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
藤原 宏子 日本女子大学, 理学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | つがいの絆 / 聴覚記憶 / 性差 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / オランダ / 鳥の脳 |
Research Abstract |
1、つがい飼育と音声呈示実験の実施 本研究では、セキセイインコの雌雄を5週間つがわせた後に、雄と雌の行動(目的1)と脳(目的2)を調べ、配偶者コールの記憶に性差があるかを検討することが大きな目的である。昨年度までに行われた予備実験を踏まえ、本年度は24個体(雌雄12個体ずつ)のセキセイインコを用いて本実験を行った。昨年度までの予備実験(行動実験)の結果は、つがいの絆の維持に重要である聴覚記憶には性差がないことを示唆していた。本年度の結果については、現在、統計的解析を進めている。また、大脳後部の高次聴覚領域における音声記憶に関連した神経活動を調べるため、免疫細胞化学実験を行う計画を立てている。このため、すべての個体の脳を潅流固定し、凍結後、冷凍庫に保存した。共同研究者のオランダ・Bolhuis教授と主に電子メールによる打ち合わせを行った。 2、行動実験データ解析と公表 動物行動学の分野では、古典的な統計検定手法に加え、新たな統計解析の手法として一般化線形モデル(GLM)が近年急速に普及しつつある。昨年度までに行われた予備実験で得られた行動実験データにGLMによる解析を導入した。その結果、雌セキセイインコによる配偶者コールの記憶保持について新たな知見を得たので、動物行動学の国際専門誌Animal Behaviourに投稿し、印刷公表された。 3、非侵襲的方法による脳活動の解析 研究代表者が、Tchernichovsky教授(アメリカ合衆国、City University of NewYork)の研究室に短期滞在し、非侵襲的方法の一つであるfMRI法を習得することになった。滞在時期は平成24年5月を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中心となる「つがい飼育と音声呈示実験」を終了することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
行動実験については平成23年度の音声呈示実験で得られたデータの統計解析(GLMを含む)を行う。脳の実験については、凍結保存された脳を薄切後、免疫染色を行う。行動、脳の実験ともに、配偶者のコールの聴覚記憶に性差があるかどうか、を評価する。行動実験については、来年度中に論文を執筆する。 非侵襲的方法による脳活動の解析については、平成24年5月に米国でfMRI法を習得し、帰国後、国内で鳥用のfMRI法を実施するための準備をすすめる。
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Research Products
(1 results)