2012 Fiscal Year Annual Research Report
群体性ボルボックス目を用いた多細胞化に伴う形態形成機構の進化の分子基盤解明
Project/Area Number |
10J40216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊岡 博子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 群体性ボルボックス目 / 緑藻 |
Research Abstract |
本研究課題は、単細胞緑藻のモデル生物クラミドモナスと、クラミドモナスに近縁で多細胞化の過程の中間的段階の生物が現存する群体性ボルボックス目を比較生物学的に解析することで、単細胞生物が多細胞化したのに伴って獲得された形態形成機構がどのような分子進化過程を経て生まれたのかを解明することを目的とする。平成24年度は、多細胞化に伴う形態形成機構の進化の典型的な事象の一つである、有性生殖様式の進化について研究を展開した。具体的には、群体性ボルボックス目における包括的な細胞サイズ決定遺伝子MAT3/RBの配列決定に寄与し、各進化段階生物におけるMAT3/RB遺伝子の発現解析を行って、これまでに示唆されていたMAT3/RBの雌雄での配列分岐および性特異的発現制御と雌雄性獲得の直接的な関連を否定し、雌雄性の誕生はMAT3/RBの両極化以前であったことを示した(Hiraide, Kawai-Toyooka et al. Mo1. Biol. Evol., in press)。 また平成24年度は多細胞化に伴う配偶子融合機構の進化にも着目し、雌雄性獲得の前段階にある8-16細胞性の同型配偶生物ゴニウムを用いた研究を展開した。現在進行中の次世代シーケンサを用いたゴニウム全ゲノム解読情報を活用してゴニウムGCS1オルソログOpGCS1のコーディング領域全長配列を決定し、抗GpGCS1抗体を作製してウエスタンブロット解析を行ったところ、GpGCS1は配偶子特異的に発現し、特にマイナス交配型配偶子で多く存在することを示した。また免疫染色法によりGpGCS1はマイナス交配型特異的に接合突起の表層に局在することを示した。これらの結果から、ゴニウムにおいてもクラミドモナスと同様にGCS1がマイナス交配型側の配偶子融合因子として機能することが示唆された。これらの研究成果は、現在国際誌に投稿準備中である。
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Research Products
(12 results)