2010 Fiscal Year Annual Research Report
高スピン偏極物質およびナノ構造の形成とスピン依存伝導現象の研究
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10J55122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 了太 東京大学, 大学院・工学系研究科電気系工学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 微粒子 / 磁気抵抗 / コトンネル / 単電子効果 / クーロンブロッケード / トンネル異方性磁気抵抗 / MBE |
Research Abstract |
本年度の研究においては、強磁性微粒子を含むナノ構造において生じる興味深い伝導現象について、研究を行った。微粒子系においては、そのナノオーダーのサイズから生じる単電子効果のような様々な現象、例えばクーロンブロッケードやコトンネル伝導などが観測されている。そのナノ微粒子が強磁性体であった場合、さらに磁気依存伝導という側面が加わり物理学的な側面と電子工学的な側面の両方から注目を集めている。磁気依存伝導を測る手段として磁気抵抗(MR)測定があるが、MRが生じる原因はさまざまであり活発な議論を呼んでいる。例えば、強磁性体に絶縁体障壁が挟まれた構造をもつ場合に生じるトンネル磁気抵抗効果や、強磁性微粒子間のトンネルで生じる磁気抵抗などである。原因はさまざまであり、一筋縄ではない。本研究で扱ったサンプルでは非磁性体に強磁性微粒子1つが挟まれた経路を取るのであるが、そのモデルではシンプルなトンネル磁気抵抗は生じない。しかし、低温で負の磁気抵抗が観測されて、その温度依存の増大傾向が非弾性コトンネル伝導の強さと一致した。この事実から、我々は非弾性コトンネルの状況下で起きたつ伝導が磁気抵抗を生じさせたと考えた。またMnAs強磁性微粒予は非常に異方性が高いことから、磁気抵抗の起源がトンネル異方性磁気抵抗TAMRである可能性があると提唱した。強磁性微粒子系におけるTAMRの報告はなく、非常に興味深い結果であると考えている。さらに研究が進めば、微粒子系における異方性と磁気抵抗の関係が明らかにできると考えている。
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